高齢者の歩かない旅行|移動がラクな旅のスタイル6選と宿選びのコツ

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こんな疑問を持つ方へ
  • 足腰が弱った親と、あまり歩かずに楽しめる旅行に行きたい
  • 歩く距離が少なくて済む旅のスタイルや宿の選び方を知りたい
  • 空港や駅で車いすや介助を頼めるのか知りたい
  • 介護が必要な家族との旅行で、どこに相談すればいいか知りたい

「昔のようにたくさん歩けなくなったから、旅行はもう無理かな」。親からそんな言葉を聞いて、さみしい気持ちになったことはありませんか。でも、旅の楽しみ方は歩いて観光地を回ることだけではありません。移動の手段や宿の選び方を工夫すれば、歩く距離をぐっと減らしても、景色やおいしい食事、温泉を十分に楽しめます。この記事では、高齢の方が「歩かない旅行」を楽しむための旅のスタイル、宿の選び方、交通機関のサポート、計画の立て方、介助が必要なときの相談先まで、ご家族向けにまとめました。

※交通機関のサービス内容は、2026年10月時点で各社の公式情報で確認したものです。利用条件は変わることがあるため、予約前に最新の情報を確認してください。

高齢者の歩かない旅行とは?|移動を減らして楽しむ旅

「歩かない旅行」とは、観光地を歩いて回る代わりに、乗り物の中や宿で過ごす時間そのものを楽しむ旅のことです。「たくさん見て回る」から「ゆっくり味わう」へ、旅の考え方を切り替えるのがポイントです。

歩く量を減らしても旅は楽しめる

車窓から海や山の景色を眺める、温泉でのんびりする、地元の料理を味わう、家族とゆっくり話す。どれも、たくさん歩かなくてもできる旅の楽しみです。むしろ移動の疲れが少ない分、一つひとつの時間を心から味わえます。

旅行は気持ちの張りにもつながる

旅行の計画を立てたり、行き先の話をしたりする時間は、本人にとって大きな楽しみになります。「次は〇〇に行こうね」という目標が、日々の暮らしの張り合いになることもあります。

高齢者におすすめの歩かない旅行スタイル6選

歩く量が少なくて済む旅のスタイルを6つ紹介します。体の状態や好みに合わせて選んでみてください。

旅のスタイル 良いところ 気をつけたいこと
家族の車でドライブ旅行 玄関から宿の前まで移動でき、休憩も自由 長時間座りっぱなしにならないよう、こまめに休憩
観光列車・鉄道の旅 座ったまま景色や食事を楽しめる 駅の乗り換えや階段。事前に介助を頼むと安心
バスツアー(車窓中心) 乗っているだけで名所を回れる 下車観光が多いコースは避け、行程表で歩く量を確認
温泉旅館に一か所滞在 荷物の移動がなく、宿でゆっくり過ごせる 館内の段差や、大浴場までの距離を事前に確認
クルーズ(船旅) 船がホテル代わりで、寝ている間に移動できる 船内も広いので、移動距離や寄港地での下船方法を確認
タクシー観光・送迎付きプラン 観光地の入口近くまで車で行ける 費用はかかるが、家族の負担が大きく減る

迷ったら「車+一か所滞在」から

初めて歩かない旅行に挑戦するなら、家族の車で近場の温泉旅館へ行き、宿でゆっくり過ごす旅がおすすめです。移動の自由がきき、体調に合わせて予定を変えやすいので、本人も家族も安心して楽しめます。

観光地では乗り物を上手に使う

観光地によっては、周遊バスや遊覧船、ロープウェイなど、歩かずに景色を楽しめる乗り物があります。また、観光案内所や施設で車いすを貸し出しているところもあります。行き先の観光協会のホームページで確認してみてください。

歩く距離を減らす宿の選び方|予約前に確認したいこと

歩かない旅行では、宿選びが旅の満足度を大きく左右します。予約の前に、次の点を電話やメールで確認しておくと安心です。

部屋と館内の移動

  • 駐車場や玄関から部屋までの距離、エレベーターの有無
  • 館内の段差や階段の数
  • 大浴場やレストランまでの距離
  • 和室なら、ベッドや低めの椅子を用意してもらえるか

食事とお風呂

  • 部屋で食事ができる「部屋食」に対応しているか
  • 部屋に温泉付きの露天風呂がある、または貸切風呂があるか
  • 浴室に手すりやシャワーチェアがあるか
  • きざみ食ややわらかい食事など、食事の形に対応してもらえるか

バリアフリールームを探す

車いすの方や歩行に不安がある方向けに、段差をなくし、手すりや広いトイレを備えた「バリアフリールーム」「ユニバーサルルーム」を用意している宿もあります。部屋数が少ないことが多いので、早めの予約がおすすめです。

ワンポイント
ホームページに「バリアフリー」と書いてあっても、どこまで対応しているかは宿によって違います。「玄関から部屋まで段差はありますか」「浴室に手すりはありますか」など、具体的に聞くのが失敗しないコツです。

空港・駅のサポートを使う|車いすや介助は事前に相談

飛行機や電車での移動では、空港や駅の広さ、乗り換えの多さが負担になりがちです。航空会社や鉄道会社のサポートを上手に使いましょう。

飛行機:空港用の車いすを用意している

たとえばANAでは、すべての空港に歩行が不自由な方のための空港用車いすを用意していると案内しています。ふだん車いすを使っていなくても、空港内を長く歩くのが不安な場合は、予約時やチェックインの際に相談してみてください。搭乗口までの案内や、優先的な搭乗などのお手伝いを受けられることがあります。

鉄道:乗り降りの介助は事前連絡がスムーズ

鉄道会社の多くは、駅係員がホームまでの案内や列車の乗り降りを手伝うサービスを行っています。たとえばJR西日本では、事前に連絡しておくとよりスムーズに乗車できると案内しており、一部の駅や列車では車いすの貸し出しも行っています。駅の人員の都合で待つこともあるため、前日までに連絡しておくと安心です。

使えるサポートの例

場面 頼めることの例
空港 空港用車いすの利用、搭乗口までの案内、優先搭乗
駅 ホームまでの案内、列車の乗り降りの介助、一部での車いす貸し出し
観光地 車いすの貸し出し、近くの駐車場の案内、段差の少ない順路の案内
宿 最寄り駅からの送迎、部屋食、ベッドや椅子の用意

疲れない旅行計画の立て方|高齢者のペースに合わせるコツ

歩く距離を減らしても、予定を詰めこみすぎると疲れてしまいます。次の順番で、ゆとりのある計画を立ててみてください。

  1. 本人の「行きたい」「やりたい」を聞く
    温泉、海を見る、おいしいものを食べるなど、本人がいちばん楽しみにしていることを中心に計画を立てます。
  2. 移動時間は短めにする
    片道の移動は、本人が無理なく座っていられる時間を目安にします。遠出よりも、近場でゆっくり過ごす旅のほうが満足度が高いこともあります。
  3. 1日の観光は1〜2か所まで
    午前に1か所、午後は宿でのんびり、くらいのペースがちょうどよいでしょう。早めにチェックインできる宿を選ぶのもおすすめです。
  4. 休憩とトイレの場所を調べておく
    高速道路のサービスエリアや道の駅、観光地の多目的トイレの場所を事前に確認しておきます。
  5. 予定を変えられる余白を残す
    疲れたら観光をやめて宿に戻れるように、予約の変更やキャンセルの条件も確認しておきましょう。
ワンポイント
旅行の前の週から、近所への散歩や買い物で少しずつ体を慣らしておくと、当日の疲れ方が違います。出発の前日は早めに休み、当日の朝は時間に追われないよう、荷物を前の晩にまとめておきましょう。

歩かない旅行の持ち物と服装|移動中を快適に過ごす工夫

座っている時間が長い旅行だからこそ、移動中を快適に過ごすための準備が大切です。いつもの持ち物に加えて、次のようなものを用意しておくと安心です。

持ち物 あると助かる理由
ふだんの薬・お薬手帳 旅先で受診するときにも役立つ。薬は日数より多めに
ひざ掛け・羽織りもの 車内や館内の冷房、朝晩の冷えに対応できる
クッション 長時間座るときの腰やお尻の負担をやわらげる
飲み物 移動中の水分補給に。トイレを気にして控えすぎないように
尿取りパッド・着替え トイレが心配な方の安心材料になる
使い慣れた杖・歩行器 旅先の慣れない場所でも、いつもどおりに歩ける

靴は履き慣れたものを

旅行のために新しい靴を用意したくなりますが、慣れない靴は靴ずれや転倒のもとになります。歩く量が少ない旅でも、かかとがしっかりして滑りにくい、履き慣れた靴を選びましょう。旅館では、脱ぎ履きしやすい靴だと玄関での負担が減ります。

座りっぱなしの時間に気をつける

車や列車、飛行機で長い時間座ったままでいると、足がむくんだり、血のめぐりが悪くなったりします。こまめに水分をとり、座ったまま足首を回したり、つま先を上げ下げしたりするだけでも違います。車なら1〜2時間に一度は休憩をとり、車から降りて体を伸ばしましょう。

介助が必要な家族との旅行|相談先と使えるサービス

車いすを使っている方や、介助が必要な方との旅行では、家族だけで準備するのが大変なこともあります。そんなときは、専門の窓口やサービスに頼ってみましょう。

バリアフリー旅行の相談窓口

観光庁は、高齢の方や障害のある方の旅行の相談に応じる「バリアフリー旅行相談窓口」の設置を進めています。各地のNPO法人などが運営していて、バリアフリーの宿や観光施設、旅行先での福祉用具のレンタルなどについて相談できます。行き先の都道府県や観光協会に問い合わせると、窓口を教えてもらえることがあります。

付き添いを頼める旅行・外出サービス

介護の知識をもつスタッフが旅行に付き添うサービスや、介護タクシーを使った観光プランもあります。なお、介護保険の訪問介護は自宅での暮らしを支えるためのサービスなので、旅行先での付き添いには使えないのが一般的です。こうしたサービスは自費になるため、内容と料金をよく確認しましょう。

ケアマネジャーにも予定を伝える

デイサービスやヘルパーを利用している場合は、旅行の予定をケアマネジャーに伝えておきましょう。サービスの休みの調整や、旅行前後の体調管理について相談にのってもらえます。

実際の旅行先の例は、高齢者を連れての沖縄旅行|車椅子でも楽しめる準備と観光スポットでも紹介しています。介護中で旅行に出かけにくいと感じている方は、介護で旅行に行けない4つの壁と突破法もあわせてご覧ください。

大切なこと
持病のある方や、最近体調に変化があった方は、旅行の前にかかりつけ医に相談しておきましょう。薬は旅行日数より多めに持ち、お薬手帳や保険証(マイナ保険証)も忘れずに持っていくと、旅先で体調をくずしたときにも安心です。

よくある質問

Q. 歩くのが苦手な高齢者でも、ツアー旅行に参加できますか?
A. 参加できるツアーはあります。ただし、下車して歩く観光が多いコースもあるので、申し込む前に行程表で歩く距離や階段の有無を確認しましょう。体の状態を旅行会社に伝えて、相談してから申し込むと安心です。
Q. 車いすを持っていなくても、旅先で借りられますか?
A. 空港や一部の駅、観光施設では車いすを貸し出しているところがあります。台数に限りがあることも多いので、事前に問い合わせておきましょう。旅行先で福祉用具をレンタルできるサービスもあります。
Q. 何泊くらいの旅行がちょうどいいですか?
A. 体力や移動距離によりますが、最初は日帰りや1泊2日の近場から始めるのがおすすめです。慣れてきたら、同じ宿に連泊して移動を減らす形にすると、日数が増えても疲れにくくなります。
Q. 介護保険のヘルパーに旅行の付き添いを頼めますか?
A. 介護保険の訪問介護は自宅での生活を支えるサービスのため、旅行先での付き添いは対象にならないのが一般的です。付き添いが必要な場合は、自費の旅行介助サービスなどを検討しましょう。詳しくはケアマネジャーに相談してください。
Q. 本人が「迷惑をかけるから」と旅行を遠慮します。
A. 「一緒に行けたら私がうれしい」と、家族の気持ちとして伝えてみてください。近場の日帰り旅行など、負担の少ない形から誘うと、本人も気軽に参加しやすくなります。

まとめ

  • 歩かない旅行は「たくさん見る」より「ゆっくり味わう」旅
  • 車でのドライブ、観光列車、車窓中心のバスツアー、一か所滞在、クルーズなどが向いている
  • 宿は部屋までの距離、段差、部屋食、貸切風呂などを具体的に確認する
  • 空港の車いすや駅の乗降介助は、事前に連絡しておくとスムーズ
  • 1日の観光は1〜2か所までにし、予定を変えられる余白を残す
  • 介助が必要なときは、バリアフリー旅行相談窓口や自費の付き添いサービスも検討する
  • 持病のある方は、出発前にかかりつけ医へ相談する

たくさん歩けなくなっても、旅の楽しみがなくなるわけではありません。景色を眺めながら「きれいだね」と言い合う時間は、きっと家族にとって大切な思い出になります。まずは、本人に「どこか行きたいところはある?」と聞いてみるところから始めてみてください。

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