高齢者にチャイムが聞こえないとき|原因・光るチャイム・家族ができる対策を解説

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こんな疑問を持つ方へ
  • 実家を訪ねてチャイムを何度鳴らしても、親がなかなか出てこない
  • 宅配便の不在票が増えた、ヘルパーさんが玄関で待たされることがある
  • チャイムが聞こえないのは耳のせい?それとも認知症のサイン?と不安
  • 光るチャイムや補聴器など、どんな対策があるのか知りたい

玄関で何度チャイムを鳴らしても返事がないと、「家の中で倒れているのでは」と胸がざわつきますよね。この記事では、高齢者にチャイムが聞こえない主な原因の見分け方、聞こえのチェックと受診の目安、音・光・振動で気づける機器の工夫、補聴器の助成制度、家族やヘルパーが訪問するときの工夫までを、やさしく解説します。

※制度の内容は2026年10月時点で公表されている厚生労働省・自治体などの資料に基づいています。助成の要件や金額は市区町村ごとに異なります。

高齢者にチャイムが聞こえないのはなぜ?考えられる5つの原因

チャイムに気づかない理由は、耳の聞こえだけとは限りません。原因によって対策が変わるので、まずは考えられる理由を整理してみましょう。

1. 加齢性難聴で「高い音」から聞こえにくくなっている

もっとも多いのが、年齢とともに少しずつ進む「加齢性難聴」です。厚生労働省によると、聴力は一般に40歳代から下がり始め、65歳を超えると聞こえにくさを感じる人が急に増え、75歳以上では約半数が当てはまるともいわれています。

加齢性難聴は両耳に起こることが多く、一般的に高い音から聞こえにくくなるのが特徴です。そのため、会話はまだ聞き取れていても、電話の呼び出し音や玄関のチャイムのような電子音にだけ気づきにくくなることがあります。

2. 耳あかが詰まっている

意外に見落とされやすいのが耳あかです。高齢になると耳の中の自浄作用が弱まり、耳あかが外耳道(耳の穴)をふさいでしまう「耳垢栓塞(じこうせんそく)」が起こりやすくなります。この場合は、耳鼻咽喉科で取り除いてもらうと聞こえが良くなることがあります。綿棒で自分で取ろうとすると、かえって奥へ押し込んでしまうので注意してください。

3. テレビの音や部屋の位置で音が届いていない

チャイムの室内機が玄関近くの廊下にあり、本人は奥の部屋でテレビを大きめの音量で見ている、という家はよくあります。ドアを閉めた寝室や2階にいると、耳に問題がなくても音が届きにくくなります。

4. チャイム本体の音量・電池・故障

音量が「小」になっている、電池式のワイヤレスチャイムの電池が切れかけている、古い機器が故障している、ということもあります。一度、家族が家の中にいる状態で鳴らしてもらい、どの部屋でどのくらい聞こえるかを確かめてみてください。

5. 聞こえていても「出ない」「出られない」

訪問販売や詐欺を警戒して、あえて出ないようにしている方もいます。また、足腰が弱って玄関まで移動するのに時間がかかり、出る前に相手が帰ってしまうこともあります。チャイムが鳴ったこと自体を忘れてしまう、何の音か分からなくなるといった変化が続く場合は、認知機能の変化が関わっていることもあるため、かかりつけ医に相談してみてください。

ワンポイント
原因を見分けるには、家族が家の中にいるときにチャイムを鳴らしてもらい、本人の様子を観察するのが近道です。「鳴ったことにまったく気づかない」なら聞こえや機器の問題、「気づいているのに出ない」なら移動や警戒心、もの忘れなど別の理由が考えられます。

チャイムが聞こえないと何が困る?暮らしと安全への影響

「チャイムくらい」と思われがちですが、聞こえないことが続くと、暮らしのいろいろな場面に影響が出てきます。

宅配便や来客を逃してしまう

再配達の手続きが負担になったり、薬や食材の受け取りが遅れたりします。不在票の電話番号に連絡すること自体が、聞こえにくい方には負担になることもあります。

家族やヘルパーが家に入れず、安否が心配になる

訪問した家族やヘルパー、ケアマネジャーが玄関で待たされ、「中で倒れているのでは」と大騒ぎになることがあります。実際には寝ていただけ、ということも多いのですが、そのたびに家族は大きな不安を感じます。

火災警報器などの「危険を知らせる音」にも気づけない可能性

チャイムが聞こえにくいということは、火災警報器や電話、車の接近音など、危険を知らせる音にも気づきにくくなっている可能性があります。厚生労働省も、聞こえにくさが危険に気づく力の低下や、人との交流が減ることによる孤立につながると注意を呼びかけています。

まずは聞こえをチェック|耳鼻咽喉科を受診する目安

チャイムに気づかないことが増えたら、機器を買いかえる前に、まず本人の聞こえを確かめることをおすすめします。

家族で一緒にできる聞こえのセルフチェック

滋賀県が紹介しているチェック項目をもとに、次の5つを確認してみてください。

  • 会話の途中で、聞き返すことがよくある
  • 聞き取れなかったとき、推測で返事をすることがある
  • 電子レンジの「チン」という音や、ドアのチャイムの音が聞こえにくい
  • 家族から「テレビやラジオの音が大きい」とよく言われる
  • 人が多い場所や騒がしい場所では、相手の声が聞き取りにくい

出典:滋賀県「高齢者の聞こえについて」をもとに作成

1つでも当てはまる場合は、耳鼻咽喉科(補聴器相談医がいる医療機関だとより安心です)に相談してみましょう。補聴器相談医とは、補聴器が必要かどうかの判断や、使い方の相談に応じる耳鼻咽喉科の医師のことです。

加齢性難聴は本人が気づきにくい

加齢性難聴は何年もかけてゆっくり進むため、本人は「年相応」「まだ大丈夫」と感じていることが少なくありません。周りの家族が先に気づくことが多いので、責めずに具体的な場面を挙げて伝えると、受け入れてもらいやすくなります。

伝え方の例
「この前、玄関で5分くらい待ったけど、チャイムに気づかなかったみたい。中で何かあったのかと心配になったよ。一度、耳を診てもらうのに付き合わせてくれない?」
「耳が遠くなった」と指摘するより、家族が心配した気持ちと、一緒に行くという提案をセットにすると、本人もうなずきやすくなります。

受診すると分かること

耳鼻咽喉科では、聴力検査で「どの高さの音が、どのくらい聞こえにくいか」を調べられます。耳あかの詰まりや中耳炎など、治療で改善できる原因が見つかることもあります。加齢性難聴だと思い込んで放っておかず、一度は検査を受けておくと安心です。

聞こえと認知症の関係

認知症の研究をまとめた国際的な報告(ランセット委員会、2024年)では、対策できる14の危険因子の一つとして難聴が挙げられています。14の因子すべてに対策できれば、認知症の約45%を予防したり発症を遅らせたりできる可能性があると推計されています。これは集団全体での推計で、一人ひとりの発症を予言するものではありませんが、聞こえの低下を放っておかないことは、生活の安全だけでなく心と頭の健康のためにも大切です。

チャイムが聞こえないときの対策|音・光・振動で気づける工夫

聞こえの状態を確かめたら、住まいの側でも「気づける仕組み」を整えていきましょう。費用のかからない見直しから順に紹介します。

音量・音色・置き場所を見直す

  • 音量を最大にする:室内機に音量の切りかえがないか確認します
  • 音色を変える:高い音から聞こえにくくなるため、音色を選べる機種なら、低めの音や長く鳴る音に変えると気づきやすくなることがあります
  • よくいる部屋に近づける:ワイヤレスの受信機なら、居間や寝室など本人が長くいる場所に置き直します
  • テレビの音を見直す:手元スピーカーなどを使うと、テレビ全体の音量を上げずに済み、チャイムの音が埋もれにくくなります

音以外で知らせる機器の種類と選び方

機器の種類 しくみ 向いている人
受信機を増やせるワイヤレスチャイム 玄関の押しボタンに対し、受信機を複数の部屋に置ける 家が広い、2階や奥の部屋で過ごすことが多い
光で知らせるチャイム(フラッシュベルなど) チャイムが鳴ると同時にランプが点滅する 音だけでは気づきにくいが、日中は起きて過ごしている
振動で知らせる受信機 身につけたり持ち歩いたりする受信機が震えて知らせる 家の中を移動することが多い、光に気づきにくい
スマートフォン連動のインターホン 来客を家族のスマホにも通知し、映像や録画で確認できる 離れて暮らす家族が来客の様子を見守りたい

機器を選ぶときは、本人が操作に迷わないかどうかを一番に考えてください。ボタンが多い機器や、スマホの設定が必要な機器は、家族が設定を引き受けられるかも確認しておくと安心です。光で知らせる機器は、テレビの画面の近くなど、本人の目に入りやすい位置に置くのがコツです。

工事が必要なときは事前に確認を

インターホンの交換に配線工事が必要になることもあります。賃貸住宅の場合は、工事の前に大家さんや管理会社への確認が必要です。なお、介護保険の住宅改修の対象は手すりの取り付けや段差の解消などで、インターホンの工事は含まれていません。費用の助成については、次の章で紹介する障害福祉の制度などを確認してみてください。

補聴器を検討するときのポイント|相談先と使える支援制度

聞こえの低下が分かったら、補聴器も選択肢の一つです。ただし、自己判断で買うと「合わずに使わなくなった」ということになりがちです。

購入前に耳鼻咽喉科で相談する

厚生労働省は、補聴器を買う前に耳鼻咽喉科の補聴器相談医に相談し、認定補聴器技能者などによる調整(フィッティング)を受けることをすすめています。また、店舗での購入や通信販売は基本的にクーリング・オフの対象にならないため、試聴や貸し出しの制度がある販売店で、納得してから購入しましょう。

補聴器があってもチャイム対策は別に考える

補聴器は、入浴中や就寝中、家でくつろいでいるときには外していることも多いものです。補聴器を使い始めても、光や振動で知らせる機器を組み合わせておくと、チャイムを聞き逃す場面をぐっと減らせます。

補聴器や機器に使える主な支援制度

制度 主な内容 相談先
補装具費の支給 聴覚障害で身体障害者手帳の対象(6級は両耳の聴力レベルがそれぞれ70dB以上など)になると、補聴器の購入費の支給を受けられる 市区町村の障害福祉の窓口
高齢者向けの補聴器購入費助成 手帳の対象にならない65歳以上の方に、購入費の一部を助成する市区町村がある。住民税非課税などの要件や上限額、購入前の申請が必要かどうかは自治体ごとに異なる 市区町村の高齢福祉の窓口
医療費控除 補聴器相談医が「補聴器適合に関する診療情報提供書」で必要性を証明した場合、購入費が医療費控除の対象になることがある 補聴器相談医、税務署
日常生活用具の給付 聴覚障害の等級や世帯の状況などの条件を満たすと、チャイムを光で知らせる装置(フラッシュベル、屋内信号装置など)の給付を受けられることがある 市区町村の障害福祉の窓口

出典:厚生労働省「聞こえにくさを感じたら(加齢性難聴)」、国税庁 個人課税課情報 第3号(平成30年4月16日)、各市区町村の案内。要件は自治体ごとに異なります

自治体の補聴器助成は、購入前に申請しないと対象にならないところも多くあります。お店で買う前に、まず市区町村の窓口に問い合わせてください。どこに聞けばよいか分からないときは、地域包括支援センターでも案内してもらえます。

家族やヘルパーが訪問するときの工夫|「出てこない」で慌てないために

聞こえの対策を進めても、チャイムに気づかない日はゼロにはなりません。訪問する側でもルールを決めておくと、お互いの安心につながります。

訪問前の連絡と「合図」を決めておく

訪問する日時を前日や当日に電話で伝えておく、玄関に着いたら電話を鳴らす、ドアを決まった回数ノックする、など家族で合図を決めておきましょう。電話の着信音も聞こえにくい場合は、高齢者が電話に出ない?原因と対策方法もあわせて参考にしてください。

鍵の扱いはケアマネジャーや事業所と相談する

ヘルパーやデイサービスの送迎で毎回玄関を開けてもらう必要がある場合、鍵の預け方や玄関の開け方を事前に決めておくとスムーズです。鍵の取り扱いは事業所ごとにルールがあるため、自己判断で合鍵を渡したり、玄関の外に置いたりせず、担当のケアマネジャーや事業所と相談して決めてください。

返事がないときの対応手順を共有しておく

  1. 電話をかける
    まずは家の電話と携帯電話の両方に連絡します。
  2. 窓や裏口から声をかける
    本人がよくいる部屋の窓の外から、名前を呼んでみます。
  3. 合鍵を持つ家族や近所の協力者に連絡する
    あらかじめ連絡先を一覧にしておくと、慌てずに動けます。
  4. 倒れている様子があれば119番
    窓から倒れている姿が見える、うめき声がするなど緊急性が高いときは、迷わず救急車を呼んでください。

宅配便は受け取り方を工夫する

チャイムに気づけないことが多い場合は、日時指定や置き配、宅配ボックスの利用を検討してみましょう。定期的に届く日用品や食品は、家族が訪問する日に届くように指定しておくのも一つの方法です。

大切なこと
チャイムに出ない日が続く、家に閉じこもりがちになったなど、暮らしの変化が気になるときは一人で抱え込まないでください。お住まいの地域包括支援センターでは、高齢者の暮らしや見守りについて無料で相談できます。訪問介護などのサービスを使えば、定期的に誰かが様子を見に行く仕組みも作れます。

チャイム以外の「聞こえない音」も見直そう|火災警報器と防犯

チャイムをきっかけに、ほかの大切な音も聞こえているか確認しておきましょう。

火災警報器は「光で知らせる」タイプも検討する

火災警報器の警報音に気づけないと、命に関わります。消防庁は、住宅用火災警報器を設置から10年を目安に交換すること、交換するときは警報器どうしが連動するタイプや、音と光で知らせる補助警報装置を併設したものなど、付加機能のある機器を検討することをすすめています。本体に書かれた設置年を確認し、古いものは聞こえ方に合ったものへ見直してみてください。

防犯のために「出ない」なら、録画できるインターホンを

訪問販売や詐欺が心配で出ないようにしている場合は、来訪者の顔を確認できるインターホンや、録画機能のある機器が役立ちます。家族が後から録画を見て、「どんな人が来ていたか」を一緒に確認できると、本人も安心して「知らない人には出ない」を続けられます。

携帯電話の着信も見直す

着信音を最大にする、振動やランプで知らせる設定にする、聞き取りやすい機種に替えるなどの工夫もあります。機種選びは高齢者の携帯電話は通話のみで簡単に!おすすめ機種と選び方でくわしく紹介しています。

よくある質問

Q. 会話は普通にできるのに、チャイムだけ聞こえないのはなぜですか?
A. 加齢性難聴は一般的に高い音から聞こえにくくなるため、会話より高い電子音にだけ気づきにくいことがあります。部屋の位置やテレビの音量、チャイムの音量設定が原因のこともあるので、家族が家の中で聞こえ方を確かめたうえで、耳鼻咽喉科で検査を受けてみてください。
Q. チャイムに気づかないのは認知症のサインですか?
A. チャイムに気づかないだけで認知症とは言えません。多くは聞こえや住まいの環境が原因です。ただ、鳴ったこと自体を忘れる、何の音か分からないなどの様子が続く場合は、かかりつけ医やもの忘れ外来に相談してみてください。
Q. 光るチャイムは介護保険で借りられますか?
A. 光るチャイムは、介護保険の福祉用具貸与の対象品目には含まれていません。聴覚障害で身体障害者手帳をお持ちの場合は、市区町村の日常生活用具の給付を受けられることがあります。要件は自治体によって異なるので、障害福祉の窓口に確認してください。
Q. 補聴器を嫌がる親には、どう声をかければいいですか?
A. いきなり補聴器をすすめるより、「チャイムに気づかないことがあって心配だから、一度耳を診てもらおう」と受診から提案するのがおすすめです。医師から説明を受けると納得しやすく、耳あかなど補聴器以外で改善する原因が見つかることもあります。
Q. 訪問しても出てこないとき、窓を割って入ってもいいですか?
A. まずは電話や声かけ、合鍵を持つ人への連絡を試してください。倒れている姿が見えるなど命に関わる様子があるときは、自分で無理に入ろうとせず、すぐに119番に連絡して指示を受けてください。

まとめ

  • 高齢者にチャイムが聞こえない原因は、加齢性難聴・耳あか・部屋の位置・機器の不具合・あえて出ないなどさまざま
  • 加齢性難聴は一般的に高い音から聞こえにくくなり、本人は気づきにくい
  • セルフチェックで1つでも当てはまれば、補聴器相談医のいる耳鼻咽喉科で検査を受ける
  • 音量・音色・置き場所の見直しに加え、受信機の増設や光・振動で知らせる機器を組み合わせる
  • 補聴器は購入前に医師へ相談。自治体の助成は購入前の申請が必要なことが多い
  • 訪問時の合図や、返事がないときの手順を家族やケアマネジャーと共有しておく
  • 火災警報器は10年を目安に交換し、光で知らせるタイプも検討する

チャイムに気づかなくなるのは、年齢とともに誰にでも起こりうる変化です。本人を責めるのではなく、「聞こえなくても気づける仕組み」を一緒に整えていけば、家族も本人も安心して暮らせます。まずは家族が家の中にいる日に、チャイムがどの部屋でどれくらい聞こえるかを一緒に確かめるところから始めてみてください。

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