高齢者のよだれかけの作り方|タオルで簡単・ポケット付きまで3つの方法

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こんな疑問を持つ方へ
  • 食事のたびに親の服が汚れて、着替えや洗濯が追いつかない
  • よだれで襟元がいつも湿っていて、肌荒れや冷えが心配
  • 市販の介護用エプロンはサイズや柄が合わず、手作りしてみたい
  • 裁縫は得意ではないけれど、簡単に作れる方法を知りたい

毎日の食事のあとに汚れた服を着替えさせ、洗濯をくり返すのは、介護する側にとって小さくない負担ですよね。この記事では、高齢者のよだれかけ(食事用エプロン)の作り方を、縫わずに1分でできる方法から、タオルで作る手縫いの方法、防水生地で作るポケット付きの方法まで、難しさの順に紹介します。サイズや生地、留め具の選び方、安全に使うための注意点もあわせて解説します。

※介護保険の制度については、2026年10月時点で公表されている厚生労働省の資料に基づいています。

高齢者によだれかけが必要になる理由|よだれ・食べこぼしが増える背景

高齢者のよだれかけの作り方に入る前に、なぜよだれや食べこぼしが増えるのかを知っておきましょう。原因が分かると、どんな形のエプロンが合うのかも考えやすくなります。

よだれや食べこぼしが増える主な原因

  • 飲み込む力の低下:年齢とともに、飲み込むときの反射(嚥下反射)やむせる反射(咳反射)が弱くなり、唾液を口の中にとどめてうまく飲み込みにくくなります
  • 病気の影響:脳卒中(脳血管障害)やパーキンソン病などでは、口やのどの筋肉が思うように動かず、よだれが出やすくなることがあります
  • 薬の影響:飲んでいる薬の種類によっては、よだれが増えることがあります
  • 手の動きや姿勢の変化:箸やスプーンを細かく調整しにくくなったり、前かがみや体の傾きが出たりすると、食べこぼしが増えます

このように、よだれや食べこぼしは本人の「不注意」ではなく、体の変化によって起こるものです。まずは責めずに受けとめることが大切です。

よだれかけを使うと楽になること

よだれかけを使うと、服の汚れを防げるだけでなく、着替えや洗濯の回数が減り、介護する家族の負担が軽くなります。濡れた服が肌に触れ続けることによる冷えや、肌荒れの予防にもつながります。着替えそのものが大変な方には、介護に最適なフルオープンパジャマのように着脱しやすい服を組み合わせるのもおすすめです。

手作りならではの良さ

市販の介護用エプロンは機能が充実している一方で、「首元がきつい」「丈が足りない」「柄が子どもっぽい」と感じることもあります。手作りなら、本人の体格や好きな色・柄に合わせられ、必要な枚数を手頃な費用でそろえられます。

伝え方の例
「よだれかけ」という言葉に、子ども扱いされたように感じる方もいます。本人の前では「お食事エプロン」「食事用のナプキン」と呼んでみてください。「せっかくのお洋服が汚れたらもったいないから、これを使おうか」と、服を大切にする気持ちとして伝えると受け入れてもらいやすくなります。

高齢者のよだれかけを作る前に|サイズ・生地・留め具の選び方

大人用のよだれかけは、赤ちゃん用のスタイよりもかなり大きく作ります。作り始める前に、サイズ・生地・留め具の3つを決めておくと失敗が少なくなります。

サイズの目安

部位 目安 調整のポイント
幅 約40〜50cm 肩幅より少し狭いくらいにすると、腕の動きをじゃましにくい
丈 約55〜70cm 座った状態で太ももの上まで届く長さ。車いすの方は膝まで覆う長さに
首回り 約38〜45cm 面ファスナーで調整できるようにし、指2本分のゆとりを残す

※一般的な目安です。実際に本人に当てて、体格に合わせて調整してください

生地の選び方

生地 特徴 向いている使い方
タオル地 吸水性が高く、家にあるタオルですぐ作れる。乾くまでに時間がかかる よだれが多い方、まず試してみたいとき
ダブルガーゼ やわらかく、軽くて乾きやすい。肌ざわりがやさしい 肌が敏感な方、バンダナ型の裏地
撥水生地(ナイロンなど) 水をはじき、汚れが落ちやすい。単体では吸水しない 汁物をこぼしやすい方の表布
ラミネート生地 表面がコーティングされていて防水性が高い。熱に弱い ポケット付きエプロンの表布

迷ったときは、表は撥水生地、裏はタオル地の組み合わせがおすすめです。こぼれた汁物は表ではじき、口元のよだれは裏のタオル地が吸ってくれます。

留め具の選び方

留め具 長所 注意点
面ファスナー 力を入れずに着け外しでき、首回りの調整もしやすい 洗濯のときは留めておかないと、ほかの衣類に絡まる
プラスナップ(スナップボタン) 外れにくく、見た目がすっきりする 指先の力が弱いと留めにくい。サイズ調整がしにくい
ゴム(かぶるタイプ) 留め具がいらず、作りが簡単 頭からかぶるため、肩や首が動かしにくい方には負担になる
エプロンクリップ タオルにはさむだけで使える 引っ張られると外れやすい

おすすめは面ファスナーです。食事中にむせたときなど、とっさに首元をゆるめたい場面でもすぐに外せます。なお、認知症の方の場合、小さなボタンなどの部品は口に入れてしまうおそれがあるので避けましょう。

【縫わない】タオルとクリップで作るよだれかけ|1分でできる簡単な方法

「今日の夕食から使いたい」「裁縫道具がない」というときは、縫わずに作れるこの方法から試してみてください。

用意するもの

  • フェイスタオルまたはバスタオル:1枚
  • エプロンクリップ(ナプキンクリップ):1本(100円ショップや介護用品売り場で手に入ります)

作り方

  1. タオルを縦長に持つ
    タオルの短い辺が上下にくるように持ち、上の両端をつまみます。
  2. 首の後ろへ回す
    本人の胸元にタオルを当て、両端を首の後ろへ回します。
  3. クリップで留める
    首の後ろでタオルの両端を重ね、エプロンクリップではさんで完成です。

向いている場面と注意点

家にあるタオルですぐに使えるので、外出先や急な来客のとき、まず使い心地を試したいときに便利です。ただし、クリップは引っ張られると外れやすいため、毎日しっかり使うなら、次に紹介する方法で専用のエプロンを作っておくと安心です。

【手縫い】フェイスタオルで作る高齢者のよだれかけ|約30分の作り方

裁縫に慣れていない方でも作りやすい、基本のよだれかけです。タオル地は吸水性が高いので、よだれが多い方にも向いています。

用意するもの

  • フェイスタオル(約34×80cm):1枚
  • 綾テープまたは平ひも(幅2〜2.5cm):約60cm
  • 面ファスナー(幅2.5cm):約5cm
  • 縫い針、手縫い糸(タオルと同じような色)、待ち針、はさみ

作り方

  1. 首ひもを2本用意する
    綾テープを30cmずつ2本に切ります。切った端はほつれないよう、1cm折り返して縫いとめます。
  2. 首ひもをタオルに縫い付ける
    タオルを縦長に置き、上端の左右の角から内側へ約3cmの位置に、首ひもを1本ずつ縫い付けます。四角形を描いてから対角線に×印を入れる「四角縫い」にすると、引っ張られても取れにくくなります。
  3. 面ファスナーを付ける
    首ひもの先端に、固い面とやわらかい面を1つずつ縫い付けます。2本のひもを重ねたときに、面ファスナー同士がかみ合う向きになっているか確かめてください。
  4. 本人に合わせて調整する
    実際に着けてもらい、首とひもの間に指が2本入るくらいのゆとりがあるか確認します。きついときは、面ファスナーの位置をひもの先端側へずらします。

受けポケットを付けるアレンジ

タオルの下端を10cmほど表側に折り上げ、左右の端を縫いとめると「受けポケット」になります。食べこぼしをポケットで受け止められるので、膝や床に落ちる量がぐっと減ります。胸元がすぐ濡れてしまう方は、首元の部分にだけハンドタオルを重ねて縫い付け、厚みを出すと染み通りにくくなります。

ワンポイント
最初の1枚は、使わなくなった古いタオルで試しに作ってみるのがおすすめです。実際に食事で使ってみて、丈の長さや首回り、ポケットの深さを確かめてから、お気に入りのタオルで本番の枚数を作ると失敗がありません。

【ミシン】防水生地で作るポケット付き食事用エプロン|約1時間半の作り方

汁物をこぼしやすい方や、長く使えるしっかりしたものを作りたい方向けの本格的なタイプです。表を防水(撥水)生地、裏をタオル地にすると、汚れが服まで染み通らず、肌ざわりもやさしくなります。

用意するもの

  • 表布:撥水生地またはラミネート生地 約50×85cm(本体用50×70cm、ポケット用50×15cm)
  • 裏布:タオル地またはダブルガーゼ 約50×70cm
  • バイアステープ(両折り・幅12mm程度):約50cm
  • 面ファスナー(幅2.5cm):約5cm
  • 型紙用の紙(新聞紙や包装紙で可)、チャコペン、ミシン、仮止め用のクリップ

型紙の作り方

  1. 本体の長方形を描く
    紙に幅45cm×丈65cmの長方形を描きます。
  2. 首ぐりを描く
    上辺の中央に、幅14cm・深さ7cmほどのゆるやかなカーブを描きます。
  3. 首ひも部分を描き足す
    首ぐりの左右の上端から、首の後ろへ回る「首ひも部分」(幅5cm×長さ15cm程度)を斜め上に伸ばすように描き足します。首の後ろで左右が約5cm重なるのが目安です。
  4. 角を丸くして縫い代を付ける
    角はすべて半径3〜4cmほどの丸みをつけると、縫いやすく体にも当たりにくくなります。最後に周囲へ縫い代1cmを足します。

作り方

  1. 裁断する
    型紙に合わせて表布と裏布を1枚ずつ切ります。ポケット用に、表布を幅47cm×高さ13cmで1枚切ります。
  2. ポケット口を始末する
    ポケット布の上辺をバイアステープでくるむか、1cm幅の三つ折りにして縫います。
  3. ポケットを仮止めする
    本体の表布を表向きに置き、下端に合わせてポケット布を重ねます。両脇と下端を、端から0.5cmのところで仮止めします。
  4. 表布と裏布を縫い合わせる
    表布と裏布を中表(表同士が内側)に合わせ、周囲を縫い代1cmで縫います。下辺に10cmほど縫わない「返し口」を残し、カーブの縫い代にはところどころ切り込みを入れます。
  5. 表に返して周囲を縫う
    返し口から表に返して形を整え、返し口の縫い代を内側に折り込みます。周囲をぐるりと端から0.5cmのところで縫うと、返し口も一緒にふさがります。
  6. 面ファスナーを付ける
    首ひも部分の先端に、左右が重なる向きで面ファスナーを縫い付けて完成です。

防水生地を上手に縫うコツ

  • 待ち針ではなくクリップで留める:ラミネート生地は針の穴が残るため、仮止めにはクリップを使います
  • アイロンは低温で当て布を:熱に弱い生地が多いので、高温で直接当てないようにします
  • 滑りにくいときは紙を敷く:押さえ金の下にトレーシングペーパーを敷いて縫い、あとから破り取るときれいに縫えます
  • ポケットを開いたままにする工夫:ポケット口に厚手の接着芯をはさむと、口が自然に開いて食べこぼしを受け止めやすくなります

日中のよだれ対策に|バンダナ型よだれかけの作り方

食事のとき以外にもよだれが気になる場合は、首元だけを覆う小さなバンダナ型が便利です。大きなエプロンを一日中着けていると「いかにも介護」という印象になりがちですが、バンダナ型ならスカーフのように見えるので、外出時にも使いやすくなります。

バンダナ型の作り方

  1. 生地を三角形に切る
    表用の綿生地と、裏用のタオル地またはダブルガーゼを、それぞれ一辺40cmほどの直角二等辺三角形に切ります(縫い代1cmを含めます)。
  2. 中表に合わせて縫う
    2枚を中表に合わせ、5〜6cmの返し口を残して周囲を縫います。
  3. 表に返して仕上げる
    表に返して形を整え、周囲を端から0.5cmのところで縫います。
  4. 面ファスナーを付ける
    長い辺の両端に、首の後ろで重なる向きで面ファスナーを付ければ完成です。

裏をタオル地やダブルガーゼにしておくと、よだれをしっかり吸い取り、表まで染みにくくなります。色は紺やグレー、チェック柄など、本人の普段の服になじむものを選ぶと自然です。

口元の肌荒れを防ぐために

よだれが長く続くと、口の端がただれたり切れたりする「口角炎」を起こすことがあります。よだれかけは濡れたらこまめに取りかえ、口元はやわらかいガーゼでやさしく押さえるように拭いてください。マスクでよだれをカバーする方法もありますが、使い方には注意が必要です。くわしくは高齢者のよだれ対策にマスクはあり?安全に使う3条件と代わりの方法で紹介しています。

手作りよだれかけを安全に使うための注意点|困ったときの相談先

手作りのよだれかけは便利ですが、使い方によっては思わぬ事故につながることもあります。毎日安心して使うために、次の点に気をつけてください。

首元を締めつけない

食事中は飲み込む動きが続くため、首元がきついと苦しく感じることがあります。首とひもの間に指2本分のゆとりがあるかを、着けるたびに確認してください。

使わないときは外す

寝るときや、目が届かない時間帯によだれかけを着けたままにするのは避けましょう。ひもが体に絡まるなどの事故を防ぐため、食事や外出が終わったら外す習慣をつけておくと安心です。

洗い替えを用意し、清潔に保つ

1日3食使うと、すぐに汚れてしまいます。洗い替えは最低でも3〜5枚あると、洗濯が追いつかなくなる心配がありません。面ファスナーは留めた状態で洗濯ネットに入れて洗い、ラミネート生地は乾燥機を使わず自然乾燥にしましょう。

よだれが急に増えたら専門職に相談する

よだれの量が急に増えた、食事中によくむせるようになった、という変化は、飲み込む機能の低下や病気、薬の影響のサインかもしれません。飲み込む力が落ちると、口の中の細菌が唾液と一緒に気管や肺へ入り込み、誤嚥性肺炎を起こす原因にもなります。早めにかかりつけ医や歯科医師に相談しましょう。言語聴覚士などによる飲み込みのリハビリや、食事の形を見直すことで楽になる場合もあります。

大切なこと
よだれや食べこぼしへの対応、毎日の食事介助に負担を感じているときは、一人で抱え込まないでください。担当のケアマネジャーや、お住まいの地域包括支援センターに相談すると、食事の介助を含む訪問介護サービスの利用や、福祉用具の選び方などについてアドバイスを受けられます。

よくある質問

Q. 100円ショップの材料だけで作れますか?
A. 作れます。フェイスタオル、面ファスナー、綾テープ、エプロンクリップは100円ショップでそろうことが多く、縫わない方法やタオルで作る手縫いの方法なら、1枚数百円ほどで作れます。
Q. 食事用エプロンは介護保険で購入できますか?
A. 食事用エプロンやよだれかけは、介護保険の福祉用具貸与や特定福祉用具販売の対象品目には含まれていないため、全額自己負担での購入になります。費用を抑えたいときは、手作りと市販品を組み合わせるのも一つの方法です。
Q. 市販品と手作り、どちらがよいですか?
A. それぞれに良さがあります。市販品は撥水加工や乾きやすさなど機能面で優れたものが多く、手作りはサイズや柄を本人に合わせられるのが魅力です。まず市販品を1枚使ってみて、足りない点を手作りで補う方法もおすすめです。
Q. 本人がよだれかけを嫌がるときは、どうすればいいですか?
A. 「よだれかけ」ではなく「お食事エプロン」と呼ぶ、本人の好きな色や柄で作る、家族も一緒にエプロンを着けて食事をするなどの工夫で、受け入れてもらいやすくなることがあります。無理に着けさせず、本人の気持ちを尊重しながら少しずつ試してみてください。
Q. 男性向けに作るときのコツはありますか?
A. 紺やグレー、デニム調やチェック柄の生地を選ぶと落ち着いた印象になります。首元にシャツの襟のような形をつけたり、バンダナ型にしてスカーフのように見せたりするのもおすすめです。

まとめ

  • 高齢者のよだれや食べこぼしは、飲み込む力の低下や病気、薬の影響などで起こる体の変化
  • 大人用のよだれかけは幅40〜50cm、丈55〜70cmほどが目安。首回りは指2本分のゆとりを
  • 留め具は、力を入れずに着け外しできる面ファスナーがおすすめ
  • すぐ使いたいなら「タオル+クリップ」、手軽に作るなら「フェイスタオルの手縫い」
  • 汁物をこぼしやすい方には「表は撥水生地・裏はタオル地」のポケット付きエプロン
  • 日中のよだれには、スカーフのように見えるバンダナ型が使いやすい
  • よだれが急に増えたり、むせが増えたりしたら、かかりつけ医やケアマネジャーに相談を

手作りのよだれかけの一番の良さは、使う人の体格や気持ちに寄り添ったものを作れることです。完璧なものを目指さなくても大丈夫です。まずは家にあるタオルとクリップで、今日の食事から試してみてください。

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