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- 祖父母や親の車を借りて、通院の送迎や買い物で運転することになった
- 高齢者マークが付いたままの車を、若い自分が運転してもいいのか分からない
- 家族の車の自動車保険で、自分が運転しても補償されるのか不安
- 高齢の家族を乗せるときや、運転を見守るときに気をつけることを知りたい
親や祖父母の運転が心配になってきたり、通院の送迎を頼まれたりして、家族の車を運転する機会が増えた若い方も多いのではないでしょうか。この記事では、高齢者マークの付いた車を若者が運転するときに確認したいことを、自動車保険、マークの付け外し、出発前の点検、高齢の家族を乗せるときのコツの順に解説します。運転の変化に気づいたときの相談先や、送迎の負担を減らせる介護サービスも紹介します。
※2026年10月時点で警察庁・国土交通省などが公表している情報に基づいています。自動車保険の補償範囲は、保険会社や契約内容によって異なります。
高齢者マークの車を若者が運転する場面とは|送迎・介護で増える家族の運転
高齢者マークの付いた車を若者が運転するのは、たいてい家族を手助けするときです。どんな場面が多いのか、まず高齢者マークの基本と合わせて整理しておきましょう。
若い家族がハンドルを握るよくある場面
- 通院の送迎:本人が長い距離や夜道の運転を不安に感じるようになり、病院への送り迎えを頼まれる
- 買い物や用事の代行:帰省したときに、まとめ買いや役所への用事を引き受ける
- 運転を控え始めた時期:免許の返納を考えている間、家族が代わりに運転して生活を支える
- 介護が始まったとき:デイサービスの見学や、介護用品の購入などで外出が増える
高齢者マークの基本をおさらい
高齢者マークの正式な名前は「高齢運転者標識」です。警察庁によると、70歳以上の人は、加齢による身体機能の低下が運転に影響するおそれがあるとき、車の前と後ろにこのマークを付けて運転するよう努めることとされています(道路交通法第71条の5第3項など)。付けるかどうかは本人の判断に任されている「努力義務」で、付けなくても罰則はありません。2011年より前の旧デザイン(もみじ型)も、引き続き使えます。
若者がマークを貼ることが法律上どう扱われるか、デザインの違いなどは、高齢者マークを若者が貼るのは違法?法律と正しい使い方を解説でくわしく紹介しています。この記事では、家族の車を実際に運転するときの準備と注意点に絞ってお伝えします。
運転する前に確認したい3つのこと
家族の車を借りる前に確認したいのは、次の3つです。
- 自動車保険
自分が運転しても補償される契約になっているか - 高齢者マーク
運転する前に外し、運転が終わったら元に戻すか - 車の状態
しばらく乗っていない車でも、安全に走れる状態か
このあと、それぞれ順番に説明します。
若者が親・祖父母の車を運転する前に|自動車保険の年齢条件と運転者の範囲
高齢者マークの車を若者が運転するとき、いちばん見落としやすいのが自動車保険(任意保険)です。高齢の家族が契約している保険は、保険料を抑えるために運転する人の年齢や範囲を限定していることが多く、若い家族が運転すると補償されない場合があります。
年齢条件:一番若い運転者の年齢に合っているか
自動車保険には、運転する人の年齢によって補償の範囲を決める「年齢条件」があります。区分は保険会社によって違いますが、一般的には次のような分け方です。
| 年齢条件の例 | 補償される運転者 |
|---|---|
| 全年齢補償 | 年齢を問わない(保険料はいちばん高い) |
| 21歳以上補償 | 21歳以上の人 |
| 26歳以上補償 | 26歳以上の人 |
| 35歳以上補償など | 35歳以上の人(区分を設けていない会社もある) |
※区分の名前や、年齢条件が適用される人の範囲は保険会社によって異なります。必ず保険証券や約款で確認してください
たとえば祖父母の車が「35歳以上補償」の場合、20代の孫が運転して事故を起こすと、補償の対象外になる可能性があります。
運転者の範囲:孫は「家族」に入らないことがある
年齢条件とは別に、運転する人を限定する「運転者限定特約」を付けている契約もあります。よくある区分と、家族限定の一般的な範囲は次のとおりです。
- 本人限定:契約で決めた主な運転者(記名被保険者)だけ
- 本人・配偶者限定:主な運転者とその配偶者だけ
- 家族限定:主な運転者、配偶者、同居の親族、別居の未婚の子
注意したいのは、家族限定の「別居の未婚の子」に別居している孫は含まれないことです。祖父母の車を、離れて暮らす孫が運転する場合は、家族限定の範囲から外れる可能性があります。結婚して家を出た子どもも「未婚の子」ではないため、同じように注意が必要です。
補償の範囲外だったときの選択肢
| 方法 | 内容 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 家族の契約を見直す | 年齢条件や運転者の範囲を広げる。保険料は上がることが多い | 送迎などで、これから定期的に運転するとき |
| 自分の保険の特約を使う | 自分の車の保険に「他車運転特約」が付いていれば、借りた車の事故も補償される場合がある。同居の家族の車や、いつも使っている車は対象外になるのが一般的 | 自分も車と自動車保険を持っていて、別居の家族の車をたまに借りるとき |
| 1日単位の自動車保険 | 他人や別居の家族の車を借りるときに、24時間単位で入れる保険。スマートフォンなどで申し込める商品がある | 帰省したときなど、年に数回だけ運転するとき |
※補償の条件や対象になる車は保険会社・商品によって異なります。加入前に各社の公式情報で確認してください
保険の契約内容は、本人も細かく覚えていないことがよくあります。帰省したときなどに、保険証券や契約内容のページをスマートフォンで撮影して家族で共有しておくと、急に送迎を頼まれたときも慌てずに確認できます。分からない点は、保険会社や代理店に「孫の〇歳が運転しても補償されますか」と具体的に聞くのが確実です。
高齢者マークは外す?付けたまま?|若者が運転するときの付け外しのルール
保険の確認ができたら、次は高齢者マークの扱いです。結論から言うと、若者が運転するときは外し、運転が終わったら元に戻すのが基本です。
付けたままにしないほうがよい理由
高齢者マークは「車」ではなく「運転する人」に対応した標識です。対象外の人が付けたまま運転しても罰則はありませんが、周りのドライバーは「高齢の方が運転している」と考えて車間を空けたり、動きを予測したりします。実際の運転者とマークが合っていないと、周りの判断がずれてしまいます。
また、高齢者マークを付けた車への幅寄せや割り込みは、法律で禁止されています。この仕組みは、本来の対象者を守るためのものです。マークの信頼性を保つためにも、家族が運転するときは外しておきましょう。
付け外しの手順
- 出発前に外す
前と後ろの両方のマークを外します。片方だけ残っていないか、車の周りを一周して確認しましょう。 - 決まった場所にしまう
グローブボックスなど、家族で決めた場所に置きます。座席に置くと、ブレーキのときに足元へ落ちることがあります。 - 運転が終わったら戻す
本人が次に運転するときにマークがないと、周りの配慮を受けられません。降りる前に戻すのを習慣にします。 - 本人に一声かける
「マーク、元に戻しておいたよ」と伝えると、本人も安心して運転できます。
マグネットが落ちる・戻し忘れを防ぐコツ
- 平らで汚れていない場所に貼る:曲面や汚れた面にはマグネットがしっかりつかず、走行中に落ちることがあります
- 表示位置を守る:マークは前と後ろの、地上0.4m以上1.2m以下の見やすい位置に付けます
- キーと一緒に保管する:車のキーとマークを一緒の袋に入れておくと、戻し忘れに気づきやすくなります
- 色あせたら取り替える:日焼けで色が薄くなったマークは、周りから見えにくくなります
慣れない車を若者が運転するときの注意点|出発前の点検と操作の確認
高齢の家族の車は、走る距離が短かったり、しばらく乗っていなかったりすることがあります。自分の車や教習車とは操作の感覚も違うので、出発前に確認しておきましょう。
出発前に確認したいこと
- タイヤ:空気が減っていないか、ひび割れや溝のすり減りがないか
- ライト・ウインカー:切れていないか(家族に外から見てもらうと確実です)
- 燃料・バッテリー:燃料は十分か、エンジンのかかりが悪くないか
- 車検証と自賠責保険証明書:車内にあるか、有効期限が切れていないか
とくに自賠責保険(すべての車に加入が義務づけられている保険)は注意が必要です。国土交通省によると、期限が切れた状態で運転すると「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」となり、違反点数6点で免許停止の処分も受けます。証明書を車に積まずに運転した場合も、30万円以下の罰金の対象になります。自賠責保険は車検とセットで更新されるので、車検の期限も一緒に確認しておくと安心です。
自分の車との違いに慣れる
- シートとミラーを自分に合わせる:運転が終わったら、本人がいつも使う位置に戻しておきます
- 車幅とボンネットの長さをつかむ:最初は広い駐車場などで、曲がり方やバックの感覚を確かめます
- パーキングブレーキの場所を確認する:足踏み式・レバー式・電動スイッチなど、車によって違います
- 安全運転支援機能を過信しない:自動ブレーキなどの機能は、あくまで運転の補助です。作動する条件も車によって異なります
高齢者マークの車に出会ったときのマナー
自分が運転しているとき、周りに高齢者マークを付けた車がいることもあります。警察庁によると、危険を避けるためにやむを得ない場合を除き、高齢者マークを付けた車に幅寄せや割り込みをすると処罰の対象です(普通車の場合、反則金6,000円・基礎点数1点)。ゆっくり走っている車がいても、車間距離を多めにとり、あせらず走りましょう。
高齢の家族を乗せて運転するときのコツ|乗り降りの介助と車内での配慮
家族の車を運転するときは、高齢の家族を乗せることも多いはずです。乗り降りの手伝い方と、車内での配慮のポイントを押さえておきましょう。
乗り降りの手伝い方
- ドアを大きく開ける
平らで広い場所に車を止め、ドアを全開にします。坂道や段差の近くは避けましょう。 - お尻から座ってもらう
車に背中を向けて立ち、ゆっくり座席に腰を下ろしてもらいます。頭から乗り込むより、体をひねる動きが少なくて済みます。 - 頭を手で守る
座るときにドアの枠へ頭をぶつけないよう、手を添えます。 - 足を片方ずつ車内に入れる
体を正面に向けながら、両足を車内に入れてもらいます。 - シートベルトを確認する
後部座席でもシートベルトの着用は義務です。ベルトが首にかかっていないか確かめます。
降りるときは、この逆の順番です。足を先に外へ出し、体を外に向けてから立ち上がってもらいます。
運転中に気をつけたいこと
- 急ブレーキ・急発進を避ける:高齢になると、体を支える力が弱くなっていることがあります
- 車内の温度をこまめに調整する:暑さや寒さを感じにくくなっている場合もあるので、ときどき声をかけて確認します
- 休憩とトイレの時間をとる:長い距離を走るときは、早めに休憩を入れます
- 体調の変化に気をつける:顔色が悪い、話しかけても反応が鈍いといった変化があれば、安全な場所に車を止めて様子を見ます
車いすを使っている場合
車いすを使っている家族を乗せるときは、乗り降りのたびに車いすをたたんで積む必要があります。普通の乗用車への移乗がむずかしくなってきたら、車いすのまま乗れる介護タクシーや、施設の送迎サービスを検討する時期かもしれません。送迎の安全性については、デイサービスの送迎が怖い?事故データで見る本当のリスクも参考にしてください。
若い家族だから気づける運転の変化|高齢ドライバーを助手席から見守る
家族の車を運転するようになると、本人の運転を助手席から見る機会も増えます。久しぶりに会う若い家族だからこそ、ささいな変化に気づけることがあります。
気づきたい運転の変化のサイン
- 車のボディやバンパーに、見覚えのない傷やへこみが増えている
- 信号や一時停止の標識を見落とすことがある
- 車線の中でふらついたり、センターラインに寄ったりする
- よく知っている道で迷う、目的地を忘れる
- 駐車枠にまっすぐ止められない、何度も切り返す
- アクセルとブレーキを踏み間違えそうになったことがある
責めずに伝えるために
変化に気づいても、いきなり「もう運転は危ない」と言うと、本人は否定されたように感じてしまいます。長く運転してきた人にとって、車は生活の足であり、自信や誇りにもつながっているからです。
「この前、駐車のときに少しこすりそうだったけど、大丈夫だった?」と、具体的な出来事を一緒に振り返る形で聞いてみてください。「心配だから、通院のときは私が運転しようか」と、運転を取り上げるのではなく手伝う提案にすると、受け入れてもらいやすくなります。
免許の制度と相談先を知っておく
| 制度・窓口 | 内容 |
|---|---|
| 高齢者講習 | 70歳以上の人が免許を更新するときに受ける講習 |
| 認知機能検査・運転技能検査 | 75歳以上は更新時に認知機能検査を受ける。過去3年間に信号無視など一定の違反歴がある人は、実際に車を運転する運転技能検査も受ける(2022年5月13日から) |
| サポートカー限定免許 | 申請すると、運転できる車を衝突被害軽減ブレーキなどを備えた「サポカー」に限定できる。免許の返納と運転の継続の間の選択肢 |
| 安全運転相談ダイヤル(#8080) | 運転に不安のある高齢ドライバーや、その家族が相談できる全国共通の番号。かけた場所の都道府県警察の窓口につながる(受付は原則平日の執務時間) |
出典:警察庁「安全運転相談」、内閣府「令和4年版交通安全白書」
免許の返納を家族で話し合うときは、高齢者 免許返納 ディベートの進め方|事故と生活の両面から比較や、高齢者の免許返納で原付だけ残す方法!手続き・費用・更新の注意点もあわせて読んでみてください。
送迎を一人で抱えない|介護サービスや地域の移動手段を組み合わせる
家族の車を運転して送迎を続けるのは、若い家族にとっても負担です。仕事や学校との両立がむずかしくなる前に、ほかの方法も組み合わせて考えておきましょう。
訪問介護の「通院等乗降介助」
介護保険の訪問介護には、「通院等乗降介助」というサービスがあります。ホームヘルパーが運転する車への乗り降りの介助や、乗る前・降りた後の移動、病院での受付などの手続きを手伝うものです。利用できるかどうかは、ケアプラン(介護サービスの利用計画)の内容や、事業所がこのサービスを行っているかによって変わります。
そのほかの移動手段
- 介護タクシー:車いすのまま乗れる車両があり、乗り降りの介助にも慣れている
- デイサービスの送迎:通所先と自宅の間を送り迎えしてもらえる
- 自治体の移動支援:タクシー料金の助成や、地域のボランティアによる送迎など、市区町村ごとに独自の取り組みがある
相談するときのポイント
「週に何回、どこへ送迎しているか」「家族が運転できない日はいつか」をメモしておくと、相談がスムーズに進みます。ケアマネジャーがいる場合はケアマネジャーに、まだ介護サービスを使っていない場合は、お住まいの地域包括支援センターに相談してみてください。
送迎や運転の見守りを、若い家族一人だけで抱え込む必要はありません。家族の運転が心配なときは安全運転相談ダイヤル(#8080)、送迎や介護の負担が大きいときはケアマネジャーや地域包括支援センターと、相談先を使い分けてください。事故や体調の急変など、危険が迫っているときは迷わず110番・119番に連絡しましょう。
よくある質問
まとめ
- 高齢者マークの車を若者が運転する前に、保険・マーク・車の状態の3つを確認する
- 自動車保険の年齢条件と運転者の範囲を確認する。別居の孫は家族限定の範囲に入らないことがある
- 範囲外なら、契約の見直し、他車運転特約、1日単位の自動車保険を検討する
- 高齢者マークは運転する前に外し、運転が終わったら元に戻す
- 自賠責保険と車検の期限を確認し、慣れない車の操作は広い場所で確かめる
- 高齢の家族を乗せるときは、お尻から座ってもらい、急ブレーキ・急発進を避ける
- 運転の変化に気づいたら、#8080やケアマネジャー、地域包括支援センターに相談する
家族の車を運転することは、高齢の家族の暮らしを支える大切な手助けです。同時に、本人の運転を近くで見守る機会にもなります。まずは次に帰省したとき、保険証券と高齢者マークの置き場所を家族で一緒に確認するところから始めてみてください。
訪問介護しんらい 
