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- 最近、親の笑顔が減ってきた気がして、何か楽しめるものを渡したい
- 高齢者でも読みやすくて、思わず笑える本を知りたい
- 目が疲れやすい・長い文章が苦手な人にも合う本はある?
- 敬老の日や誕生日に、本をプレゼントしても喜ばれるか不安
年齢を重ねると、外出や人と話す機会が減り、声を出して笑う場面も少なくなりがちです。「何か楽しめるものを」と思っても、何を選べばよいか迷いますよね。この記事では、高齢者が笑える本の選び方と、川柳・エッセイ・漫画などジャンル別の定番、目が疲れやすい方や認知症の方と一緒に楽しむコツを紹介します。笑いと健康についての研究結果もあわせて解説します。
※書籍の情報は2026年10月時点で出版社・書店のサイトで確認した内容です。品切れや新しい巻が出ている場合もあるため、購入前に書店でご確認ください。
高齢者に笑える本がおすすめな理由|笑いと健康の研究から分かること
高齢者に笑える本をすすめたいのは、「楽しい時間を過ごしてほしい」という気持ちからだけではありません。笑うことと心身の健康の関係は、国内の大規模な調査でも注目されています。
よく笑う人は、うつ状態になりにくいという調査結果
東北大学などの研究グループは、日本老年学的評価研究(JAGES)に参加した65歳以上の約3万2千人を6年間追跡しました。その結果、「ほとんど笑わない」人は「ほぼ毎日笑う」人に比べて、うつ状態になるリスクが約1.5倍高いことが分かりました。年齢や経済状況、持病、社会参加などの影響を考慮しても、同じ傾向が見られたとされています。
| 声を出して笑う頻度 | うつ状態になるリスク(ほぼ毎日笑う人を1とした場合) |
|---|---|
| ほぼ毎日 | 1(基準) |
| 週に1〜5回程度 | 約1.25倍 |
| 月に1〜3回程度 | 約1.26倍 |
| ほとんどない | 約1.49倍 |
※出典:東北大学プレスリリース「日常生活でよく笑う人はうつになりにくい」(2025年9月)、Journal of Affective Disorders掲載論文
笑う頻度と長生きの関係を調べた研究も
山形県で40歳以上の住民約1万7千人を追跡した研究(山形大学、2020年発表)では、笑う頻度が少ない人ほど、死亡のリスクが高い傾向が報告されています。どちらの研究も、実際の暮らしを観察した調査です。そのため「笑えば必ず健康になる」と言い切れるものではありません。それでも、毎日の中に笑う時間があることは、心の元気を保つ一つの手がかりといえそうです。
本なら一人でも、自分のペースで笑える
テレビやラジオと違い、本は好きなときに開いて、好きなところで閉じられます。外出が難しくなった方や、人づきあいが少なくなった方でも、一人で気軽に笑える時間をつくれるのが本の良さです。読んだ内容を家族に話せば、会話のきっかけにもなります。
高齢者が笑える本の選び方|読む力・好み・場面に合わせる5つのポイント
「面白い」と感じるツボは人それぞれです。高齢者が笑える本を選ぶときは、次の5つを意識すると失敗が少なくなります。
1. 短く区切って読める
長編小説は、途中で話の流れを忘れてしまうと楽しみにくくなります。川柳、4コマ漫画、1話数ページのエッセイのように、どこから読んでも、どこでやめても楽しめる本がおすすめです。
2. 文字の大きさと本の重さ
小さな文字は目が疲れやすく、読む気持ちが続きません。文字が大きめの本や、余白が多い本を選びましょう。寝る前に布団で読む方には、単行本より軽い文庫本や薄い本が向いています。
3. 本人と同じ世代の「あるある」
物忘れや体の衰え、家族とのすれ違いなど、同じ年代の人が自分の老いを笑い飛ばす本は「そうそう、うちもそう」と共感しやすく、自然と笑顔が出ます。
4. 本人の好きなことや、昔なじみのもの
食べることが好きな人には食のエッセイ、昔から漫画が好きな人には懐かしい漫画など、本人の好みに合わせると手に取ってもらいやすくなります。若いころに読んだ作家の本も喜ばれます。
5. 人を傷つける笑いでないこと
老いや病気を必要以上にからかう内容は、読む人によってはつらく感じることがあります。とくに病気療養中の方や、気持ちが落ち込んでいる方に贈るときは、温かい目線で書かれた本を選ぶと安心です。
迷ったら、まず家族が書店でパラパラとめくってみてください。「自分が読んでも1ページ目で笑えるか」「文字が無理なく読めるか」を確かめるだけで、ずいぶん選びやすくなります。
高齢者に笑える本の定番|川柳・エッセイ・漫画のおすすめ
ここでは、長く読み継がれている定番や、高齢の読者に人気のシリーズを紹介します。まずはジャンルごとの特徴を表にまとめました。
| ジャンル | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 川柳 | 1句が短く、1ページで完結する。声に出して読める | 長い文章が苦手な人、家族で一緒に楽しみたい人 |
| エッセイ | 1話が数ページ。作者の人柄やユーモアに触れられる | 本を読む習慣がある人 |
| 漫画(4コマなど) | 絵で状況が分かり、文字が少ない | 活字を読むのが疲れる人、懐かしい作品が好きな人 |
川柳:シルバー川柳シリーズ
「シルバー川柳」は、公益社団法人全国有料老人ホーム協会が毎年募集している川柳の入選作などをまとめた本です。ポプラ社から毎年秋ごろに新しい巻が出ており、2025年9月にはシリーズ第15弾『シルバー川柳15 杖忘れ走って店に取りに行く』が発売されました。物忘れや体の不調、夫婦や孫とのやりとりを明るく詠んだ句が多く、「分かる、分かる」と声に出して笑えるのが魅力です。河出書房新社からも「笑いあり、しみじみあり シルバー川柳」という別のシリーズが出ています。
エッセイ:老いを笑い飛ばす作家の本
- 佐藤愛子『九十歳。何がめでたい』(小学館):90歳を超えた作家が、世の中への怒りや老いの日々を痛快につづったエッセイ集です。2017年の年間ベストセラー総合第1位となり、2024年には映画にもなりました。続編に『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』があります
- 赤瀬川原平『老人力』(筑摩書房):物忘れなど、ふつうは「衰え」とされることを「老人力がついた」と前向きにとらえ直したエッセイです。1998年に刊行されてベストセラーになり、文庫版もあります
- 東海林さだお「丸かじり」シリーズ(文春文庫):身近な食べ物をテーマに、思わずくすっと笑える文章とイラストでつづる食のエッセイです。40巻を超える長寿シリーズで、どの巻から読んでも楽しめます
- さくらももこ『もものかんづめ』(集英社文庫):「ちびまる子ちゃん」の作者による初めてのエッセイ集で、1991年にベストセラーになりました。日常の失敗談がテンポよく描かれ、世代を問わず楽しめます
漫画:昔なじみの家庭漫画
長谷川町子の『サザエさん』や『いじわるばあさん』は、昭和の暮らしの中のおかしみを4コマで描いた作品です。若いころに新聞で読んでいた方も多く、懐かしさと笑いを同時に味わえます。2026年4月からは、朝日新聞出版による電子書籍の配信も始まりました。紙の本は図書館で借りられることも多いので、まず1冊試してみるのもよい方法です。
目が疲れる・本が苦手な高齢者に|大活字本・朗読CD・クイズ本
「本は好きだったけれど、最近は目が疲れて読めない」という方も少なくありません。そんなときは、読み方そのものを変えてみましょう。
大活字本を図書館で借りる
大活字本とは、目が見えにくい方や高齢の方でも読みやすいように、大きな文字で印刷した本のことです。一般的な文庫本の文字が9〜10ポイントほどなのに対し、大活字本は12〜22ポイントほどで作られています。1冊の内容が数冊に分かれていることが多く、1冊あたりが軽くなるのも利点です。多くの公共図書館に大活字本のコーナーがあるので、蔵書検索で「大活字」と書名を組み合わせて探してみてください。
朗読CDや落語で「耳から笑う」
文字を読むのがつらい方は、耳で楽しむ方法もあります。図書館には本を朗読したCDがあり、落語のCDを置いている館もあります。目を閉じたまま楽しめるので、横になって過ごす時間が長い方にも向いています。
クイズ・なぞなぞの本で笑い合う
シニア向けのクイズやなぞなぞ、ダジャレの本は、家族やデイサービスの仲間と一緒に楽しめます。答えを当て合ったり、珍回答に笑ったりするうちに、自然と会話が生まれます。介護施設などのレクリエーション向けに作られた本もあります。
読みにくそうにしていたら、文字の大きさだけでなく、明るさも見直してみてください。手元を照らすライトを置いたり、老眼鏡の度数が合っているかを確認したりするだけで、読書がぐっと楽になることがあります。見え方の変化が気になるときは、眼科で相談しましょう。
認知症の方と一緒に笑える本を楽しむコツ|読み聞かせと会話の工夫
認知症があると、一人で本を読み進めるのが難しくなることがあります。それでも、家族が一緒に読んだり、声に出して読んだりすることで、笑い合う時間をつくれます。
声に出して短く読む
川柳や4コマ漫画のように短いものを、ゆっくり声に出して読んでみましょう。内容をすべて理解してもらう必要はありません。読む人の表情や声の調子から楽しさが伝わるだけでも十分です。
昔の話につなげる
昭和の暮らしが描かれた漫画や、昔の出来事を詠んだ川柳は、「こんなことあったね」と思い出話を引き出すきっかけになります。本人が話し始めたら、本はいったん置いて、話を聞くことを優先してください。
うまくいかない日は無理をしない
その日の体調や気分によって、笑ってくれる日もあれば、興味を示さない日もあります。反応がないときは、「また今度読もうね」と切り上げましょう。無理に続けると、本そのものが嫌な思い出になってしまいます。
「この川柳、おばあちゃんのことみたい」と言うと、本人によってはからかわれたように感じることもあります。「この句、私もやっちゃうんだよね」と、自分のこととして話すと、一緒に笑いやすくなります。
高齢者に笑える本をプレゼントするときのポイント|喜ばれる渡し方
敬老の日や誕生日に本を贈る方も多いでしょう。ちょっとした気配りで、より喜ばれる贈り物になります。
「老い」がテーマの本は相手を選ぶ
老いを笑い飛ばす本は人気がある一方で、「年寄り扱いされた」と感じる方もいます。普段から冗談を言い合える関係なら問題ありませんが、心配なときは食のエッセイや懐かしい漫画など、老いとは関係のないテーマを選ぶと安心です。
ひと言メッセージを添える
「この本で笑ったから、読んでほしくて」と、贈る理由をひと言添えると、受け取る側もうれしいものです。読んだあとに感想を話し合えば、その本が家族の共通の話題になります。
本と一緒に贈ると便利なもの
- ブックスタンド:本を手で支えなくてよいので、腕や手が疲れにくくなります
- 手元を照らすライト:文字が読みやすくなり、目の疲れを減らせます
- 拡大鏡(ルーペ):文字が小さい部分だけ、手軽に大きく見られます
本以外の贈り物も検討したい方は、在宅介護のプレゼント選び!本人と介護する家族に本当に喜ばれる贈り物もあわせて参考にしてください。
本をきっかけに笑顔の時間を増やす|家族・仲間と楽しむ工夫
笑える本は、一人で読むだけでなく、人とのつながりを広げる道具にもなります。
家族で「今月の一句」を楽しむ
川柳の本を読んだら、家族で「今月のお気に入りの一句」を選んだり、自分たちで川柳を作ってみたりするのもおすすめです。電話のときに「この前の本、どの句が面白かった?」と聞くだけでも、会話がはずみます。
趣味や外出のきっかけにする
本をきっかけに、図書館に通ったり、川柳の会や読書会に参加したりする方もいます。趣味や人との交流が少なくなると、心身にさまざまな影響が出ることも分かっています。くわしくは高齢者に趣味がないとどうなる?研究データで見る5つの変化で紹介しています。気の合う仲間づくりを考えている方は、高齢者の茶飲み友達の見つけ方も参考になります。
笑顔が急に減ったときは相談を
本を渡しても興味を示さない、好きだったことを楽しめなくなった、という状態が続くときは、気分の落ち込みや体調の変化が隠れていることもあります。「年のせい」と決めつけず、早めに相談することが大切です。
笑顔や口数が目に見えて減った、食欲がない、眠れていないなどの変化が2週間以上続くときは、かかりつけ医に相談してください。介護や暮らしの困りごとは、担当のケアマネジャーや、お住まいの地域包括支援センターでも相談できます。家族だけで抱え込まないでください。
よくある質問
まとめ
- よく笑う高齢者ほど、うつ状態になりにくいという調査結果がある
- 高齢者が笑える本は「短く区切れる」「文字が大きい」「同世代のあるある」が選ぶポイント
- 定番は、シルバー川柳シリーズ、佐藤愛子や赤瀬川原平のエッセイ、懐かしい4コマ漫画
- 目が疲れる方には、図書館の大活字本や朗読CD、落語のCDもおすすめ
- 認知症の方とは、短いものを声に出して読み、昔の話につなげて楽しむ
- プレゼントでは「老い」がテーマの本は相手を選び、ひと言メッセージを添える
- 笑顔が急に減ったときは、かかりつけ医やケアマネジャーに相談を
笑える本は、読む人だけでなく、そばにいる家族の気持ちも明るくしてくれます。完璧な1冊を探さなくても大丈夫です。まずは図書館や書店で、川柳の本を1冊手に取ってみてください。そして、お気に入りの一句を一緒に笑い合ってみましょう。
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