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- 高齢の親のお昼ごはんが、パンや麺だけになっていて心配
- 毎日の昼食の献立を考えるのが大変。簡単に作れるランチメニューを知りたい
- 噛む力や食欲が落ちてきた家族に、どんなランチを用意すればいいか迷っている
- 作るのがつらいときに頼れる、市販品や配食サービスの使い方を知りたい
「お昼は簡単に済ませたよ」という親の言葉に、少し心配になったことはありませんか。高齢になると、買い物や調理の負担、食欲の低下から、昼食が手軽なものに偏りがちです。この記事では、高齢者のランチメニューを考えるときに大切な栄養の目安、簡単に作れる献立例、噛みにくい・食欲がないときの工夫、作れない日に頼れるサービスまで、順番にやさしく解説します。
※栄養の目安は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」を紹介した健康長寿ネットの情報(2026年10月時点で確認)に基づいています。持病で食事制限がある方は、主治医や管理栄養士の指示を優先してください。
高齢者のランチメニューで大切なこと|昼食で栄養の不足を補う
高齢者のランチメニューで一番大切なのは、手軽さと栄養を両立させることです。朝は食欲がない、夕食は少なめという方も多いため、昼食は1日の栄養を補う大事な機会になります。
高齢者は「食べすぎ」より「食べなさすぎ」に注意
若いころは「食べすぎ」に気をつけていた方も、高齢になると「食べなさすぎ」による低栄養が心配になります。低栄養とは、食事の量が減って、体に必要なエネルギーやたんぱく質などが足りなくなった状態のことです。
厚生労働省の令和元年「国民健康・栄養調査」では、65歳以上で低栄養傾向(BMI20以下)の人の割合は、男性12.4%、女性20.7%でした。85歳以上では男性17.2%、女性27.9%と、年齢が上がるほど多くなります(健康長寿ネット「高齢者の低栄養」より)。
低栄養が続くと、筋肉や筋力が落ちる、感染症にかかりやすくなる、傷が治りにくくなるといった変化が起こりやすくなります。毎日の昼食をしっかりとることは、こうした変化を防ぐ土台になります。
1日にとりたい栄養の目安
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、65歳以上の方の1日の目安が次のように示されています。
| 項目(1日あたり) | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| たんぱく質(推奨量) | 60g | 50g |
| 食塩相当量(目標量) | 7.5g未満 | 6.5g未満 |
| カルシウム(推奨量) | 750mg | 65〜74歳 650mg/75歳以上 600mg |
| エネルギー(身体活動レベル「ふつう」) | 65〜74歳 2,350kcal/75歳以上 2,250kcal | 65〜74歳 1,850kcal/75歳以上 1,750kcal |
※出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(健康長寿ネット「高齢者の食事摂取基準」より)。必要な量は体格や活動量、持病によって変わります。
ランチで意識したい3つのポイント
- たんぱく質のおかずを1品入れる:肉・魚・卵・大豆製品・乳製品のどれかを毎食とる
- 主食・主菜・副菜をそろえる:麺やパンだけで終わらせず、おかずと野菜を足す
- 塩分をとりすぎない:汁物や麺のつゆ、漬物が重ならないようにする
数字をきっちり計算する必要はありません。「お皿の上に、たんぱく質のおかずがあるか」を毎回確かめるだけでも、ランチの中身は大きく変わります。
高齢者のランチメニューの組み立て方|主食・主菜・副菜の選び方
献立を考えるときは、主食・主菜・副菜の3つを組み合わせるのが基本です。健康長寿ネットでも、毎日の食事で主食・主菜・副菜をそろえることは、栄養バランスにとって重要とされています。
| 区分 | 主な役割 | ランチで使いやすい食品の例 |
|---|---|---|
| 主食 | 体を動かすエネルギー源 | ご飯、おかゆ、うどん、そば、パン |
| 主菜 | 筋肉や体をつくるたんぱく質 | 卵、豆腐、納豆、鮭やさばの切り身、ツナ缶、鶏ひき肉、チーズ |
| 副菜 | 体の調子を整えるビタミン・ミネラル・食物繊維 | 青菜のおひたし、かぼちゃの煮物、きのこ、わかめ、トマト、冷凍野菜 |
| プラス1品 | カルシウムや不足分を補う | 牛乳、ヨーグルト、果物 |
主食は「量」より「抜かないこと」
ご飯や麺は、体を動かすエネルギーのもとです。食が細い方は、茶わんを小さめにしても構いません。大切なのは、主食を抜かずに毎食とることです。
主菜はたんぱく質のおかずを毎食1品
健康長寿ネットでは、低栄養の予防として、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などのたんぱく質を毎食おかずに1品入れることがすすめられています。卵や豆腐、缶詰の魚は、切る手間が少なく、昼食に取り入れやすい食材です。
副菜と汁物は「1品足す」感覚で
副菜は、冷凍のほうれん草やカット野菜を使えば、電子レンジで温めるだけで1品になります。汁物は具だくさんにすると、野菜もたんぱく質もとれる心強いおかずになります。ただし、汁物は塩分が多くなりやすいため、健康長寿ネットでは1日1杯程度が目安とされています。
いつもの麺やパンに「卵を1個落とす」「チーズを1枚のせる」「ツナ缶を混ぜる」だけでも、たんぱく質のおかずが1品増えます。献立を一から考えるより、今あるランチに足す方法のほうが続けやすくなります。
簡単に作れる高齢者のランチメニュー例7選
ここでは、調理の手間が少なく、主食・主菜・副菜をそろえやすいランチメニューの例を紹介します。一人分でも作りやすく、家族が作り置きする場合にも使える組み合わせです。
| メニュー | 組み合わせ例 | ここがおすすめ |
|---|---|---|
| ①親子丼セット | 親子丼+ほうれん草のおひたし+みかん | 鶏肉と卵でたんぱく質が2種類とれる。玉ねぎはやわらかく煮る |
| ②具だくさん煮込みうどん | うどん+卵・鶏肉・白菜・にんじん・油揚げ | 一品で主食・主菜・副菜がそろう。つゆは残して塩分を控える |
| ③焼き鮭の定食 | ご飯+焼き鮭+かぼちゃの煮物+豆腐とわかめのみそ汁 | 魚の切り身はグリルやフライパンで焼くだけ。骨の少ない切り身を選ぶ |
| ④豆腐のそぼろあんかけ丼 | ご飯+豆腐と鶏ひき肉のあんかけ+トマト | とろみがあって口の中でまとまりやすい。豆腐と肉でたんぱく質たっぷり |
| ⑤チーズトーストの洋風ランチ | チーズトースト+野菜のミルクスープ+ヨーグルト | パン派の方に。牛乳・チーズ・ヨーグルトでカルシウムも補える |
| ⑥夏の冷やしうどん | 冷やしうどん+ツナ・錦糸卵・きゅうり・トマト | 食欲が落ちる暑い時期に。具をのせるだけでたんぱく質と野菜がとれる |
| ⑦卵としらすの雑炊 | 雑炊(ご飯・卵・しらす・青菜)+プリンや果物 | 体調がすぐれない日や食欲のない日に。やわらかく消化しやすい |
※組み合わせは、主食・主菜・副菜をそろえる考え方に沿った一例です。量は食べる方の体格や食欲に合わせて調整してください。
丼もの・麺類は「一皿で完結」させる
丼ものや麺類は、作るのも片付けるのも楽な、ランチの強い味方です。ただ、ご飯や麺だけになると、たんぱく質と野菜が不足しがちです。具に卵や肉、野菜をたっぷりのせて、一皿の中で主食・主菜・副菜をそろえることを意識してみてください。
麺類は「つゆ」と「具」に気をつける
うどんやそば、ラーメンのつゆには塩分が多く含まれています。つゆは飲み干さずに残す、具を増やして麺の量をやや控える、といった工夫で塩分を減らせます。かけうどんより、卵や鶏肉、野菜を入れた煮込みうどんがおすすめです。
作り置きと冷凍を上手に使う
家族が週末にまとめて作り置きをしておく方法もあります。親子丼の具やそぼろあんは、小分けにして冷凍しておくと、温めてご飯にのせるだけで一食になります。作り置きは冷蔵庫や冷凍庫で保存し、温め直すときは中まで十分に加熱してください。
噛みにくい・飲み込みにくい人のランチメニュー|食べやすくする工夫
歯が弱くなったり、入れ歯が合わなくなったりすると、硬いものやパサパサしたものが食べにくくなります。食べにくさから食事量が減ると、低栄養につながりやすくなるため、調理の工夫で食べやすくしてあげましょう。
やわらかく、小さく、しっとりと
- やわらかく煮る:根菜は長めに煮る。肉はひき肉や薄切り肉を使う
- 小さく切る:ひと口で食べやすい大きさにする。ただし細かくしすぎると口の中でバラバラになりやすい
- しっとりさせる:焼き魚より煮魚、パンはスープに浸す、卵は半熟のいり卵にする
- とろみでまとめる:片栗粉のあんをかけると、口の中でまとまって飲み込みやすくなる
市販の介護食品「スマイルケア食」も選択肢に
農林水産省は、介護食品を「スマイルケア食」として整理し、食べる人の状態に合わせて選べるよう、3色のマークで分類しています。
| マーク | 対象となる方 |
|---|---|
| 青マーク | 噛むこと・飲み込むことに問題はないが、健康維持のために栄養補給が必要な方 |
| 黄マーク | 噛むことに問題がある方 |
| 赤マーク | 飲み込むことに問題がある方 |
※出典:農林水産省「スマイルケア食(新しい介護食品)」。黄・赤マークの食品には、さらに細かいレベル分けがあります。
レトルトや冷凍の介護食品は、温めるだけで食べられるものが多く、毎日のランチに1品足すだけでも負担が軽くなります。
むせる・飲み込みにくいときは専門家に相談を
食事中によくむせる、飲み込んだあとに咳が出る、食べ物が口に残るといった様子があるときは、自己判断で食事の形を変える前に、かかりつけ医や歯科医師に相談してください。飲み込む力に合った食事の形は人によって異なります。介護サービスを使っている方は、ケアマネジャーにも伝えておくと、専門職につないでもらえます。
食欲がない・量が食べられないときの高齢者ランチ|少量で栄養をとるコツ
「お昼はあまりお腹がすかない」「たくさんは食べられない」という高齢者は少なくありません。量が食べられないときは、少ない量でも栄養がとれる工夫をしてみましょう。
たんぱく質のおかずから先に食べる
ご飯や麺でお腹がいっぱいになると、おかずが残りやすくなります。食が細い方は、卵や魚、豆腐などのおかずを先に食べてもらうと、たんぱく質をとりこぼしにくくなります。
少量で栄養がとれる食品をちょい足しする
- おかゆやスープに卵を落とす
- みそ汁に豆腐や油揚げを入れる
- パンにチーズをのせる、牛乳でスープを作る
- ご飯にしらすや納豆、ツナをのせる
小さな器に少しずつ盛りつけると、見た目の量が減って「食べられそう」と感じやすくなります。好きな味つけや、昔からなじみのある料理を取り入れるのも食欲を引き出すコツです。
間食や栄養補助食品で補う
1回の昼食で食べきれない分は、午後のおやつで補っても構いません。ヨーグルトやプリン、牛乳、果物などは手軽に栄養を足せます。食事量がどうしても足りないときは、栄養補助食品を使う方法もあります。健康長寿ネットでは、栄養補助食品を選ぶ際は医師や薬剤師に相談することがすすめられています。
食事量が減っているかどうかは、体重の変化が一つの目安になります。健康長寿ネットでは、6か月で2〜3kgの体重減少、または1〜6か月で3%以上の体重減少があると低栄養のリスクがあるとしています。月に1回でも体重を測っておくと、変化に早く気づけます。気になる減り方があれば、かかりつけ医に相談してください。
作るのが大変なときの高齢者ランチ|市販品・配食サービス・訪問介護
毎日のランチを手作りし続けるのは、本人にとっても家族にとっても大きな負担です。「手作りでなければ」と思いすぎず、使えるものは上手に使いましょう。
市販の惣菜・冷凍食品・缶詰を組み合わせる
スーパーやコンビニの惣菜、冷凍食品、缶詰は、高齢者のランチを支える心強い味方です。選ぶときは、ご飯やパンだけでなく、たんぱく質のおかず(焼き魚、煮物、卵焼き、サラダチキンなど)と野菜のおかずを組み合わせるのがポイントです。
健康長寿ネットで紹介されている厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査」の結果では、持ち帰りの弁当や惣菜を定期的に利用している人は、栄養バランスのとれた食事をとる頻度が低い傾向があるとされています。弁当1つで済ませず、サラダやヨーグルトなどを1品足すことを意識してみてください。
配食サービス(宅配弁当)を利用する
配食サービスは、調理済みのお弁当を自宅まで届けてくれるサービスです。民間の宅配弁当のほか、市区町村が見守りを兼ねて実施している配食サービスもあります。対象や費用は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターで確認してください。
民間の配食サービスでは、塩分やエネルギーを調整したお弁当、やわらかく調理したお弁当を選べることもあります。糖尿病や腎臓病などで食事制限がある方は、利用前に主治医や管理栄養士に相談しましょう。
訪問介護で昼食づくりを手伝ってもらう
要介護認定を受けている方は、訪問介護(ホームヘルプサービス)の「生活援助」として、ホームヘルパーに調理をお願いできる場合があります。ただし、本人以外の家族のための食事づくりなどは対象外です。利用できる内容や回数は、ケアプランによって決まります。ケアマネジャーや、お住まいの地域包括支援センターに相談してみてください。
ヘルパーの調理で味つけや好みを伝えるコツは、ヘルパーの料理がまずい場合はどうしたらいい?まずいと言われないための3つの重要点でも紹介しています。また、親が料理をしなくなった背景や家族ができる対策は、高齢者が料理しないのはなぜ?原因と家族ができる7つの対策も参考にしてください。
一人のランチをもっと楽しく|高齢者の孤食を減らす工夫
栄養と同じくらい大切なのが、「誰と、どんな気持ちで食べるか」です。一人きりの食事が続くと、食欲がわかず、つい簡単なもので済ませてしまいがちです。
高齢者の孤食は少なくない
農林水産省「食育に関する意識調査報告書」(平成30年3月)では、ほとんど毎日一人で食事をしている人の割合は、70代女性で33.5%、70代男性で20.0%でした(健康長寿ネット「高齢者の食生活」より)。一人暮らしの高齢者が増えるなかで、昼食を一人で食べている方は多いと考えられます。
誰かと一緒に食べる機会をつくる
- 家族と電話やビデオ通話をしながら食べる:離れて暮らしていても、同じ時間にランチをとれば会話が生まれる
- 地域のサロンや会食会に参加する:自治体や社会福祉協議会、ボランティアが開いている会食の場もある
- デイサービスを利用する:昼食や入浴、レクリエーションがあり、ほかの利用者と食事を楽しめる
- 友人と外食する:月に1回でも、楽しみな予定があると外出のきっかけになる
一緒に食事を楽しめる友人を見つけたい方は、高齢者の茶飲み友達の見つけ方|出会える場所7選と家族ができるサポートも参考にしてください。
一人でも「楽しみ」を添える
一人で食べる日も、好きな器を使う、季節の食材を一品入れる、窓辺で食べるなど、小さな楽しみを添えるだけで食事の時間が変わります。家族が「今日のお昼は何だった?」と聞くことも、本人がランチを意識するきっかけになります。
「ちゃんと食べてる?」と聞くと、責められているように感じる方もいます。「今日のお昼、何を食べたの?」「この前の煮物、おいしかった?」など、内容に興味を持って聞いてみてください。食事の様子を自然に知ることができます。
よくある質問
まとめ
- 高齢者のランチメニューは、手軽さと栄養の両立が大切。低栄養を防ぐ大事な一食になる
- 主食・主菜・副菜をそろえ、たんぱく質のおかずを毎食1品入れる
- 丼ものや煮込みうどんなど、一皿で主食・主菜・副菜がそろうメニューは作るのも片付けも楽
- 麺のつゆは残す、汁物は1日1杯程度にするなど、塩分のとりすぎに気をつける
- 噛みにくい・飲み込みにくいときは、やわらかく煮る、とろみでまとめるなどの工夫を。むせるときは専門家に相談
- 作るのが大変なときは、惣菜・冷凍食品・配食サービス・訪問介護を上手に使う
- 家族や地域の人と一緒に食べる機会をつくると、食欲や楽しみにもつながる
毎日のランチを完璧に整える必要はありません。いつものお昼ごはんに、卵やチーズ、豆腐などのおかずを1品足すだけでも、栄養は少しずつ変わっていきます。作ることが負担になっているときは、一人で抱えずに地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してみてください。まずは今日のお昼に、たんぱく質のおかずが1品あるかを確かめるところから始めてみてください。
訪問介護しんらい 