介護疲れで夫婦関係がつらいとき|今日からできる対処法と相談先まとめ

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夫婦の介護疲れは、配偶者を介護する老老介護でも、夫婦で親を支える場合でも、「家族なのだから」と抱え込むほど深くなります。この記事では公的データをもとに、限界のサイン、今日から負担を減らす方法、夫婦の話し合い方、頼れる相談先までを順に整理しました。

こんな疑問を持つ方へ

  • 夫(妻)の介護が続き、心も体も休まらない
  • 介護のことで夫婦げんかが増え、相手にイライラしてしまう
  • 親の介護を夫婦でどう分担すればいいのかわからない
  • 施設や介護サービスに頼るのは申し訳ない気がする
  • 限界が近いと感じるのに、誰に相談すればいいかわからない

介護疲れが夫婦を追い詰める理由とデータで見る現状

「自分がもっと頑張れば」と思うほど、介護疲れは静かに積み重なっていきます。まずは、夫婦の介護がなぜ負担を抱え込みやすいのかを、状況の違いと公的なデータから確認しておきましょう。

夫婦の介護疲れには「2つのかたち」がある

ひとくちに夫婦の介護疲れといっても、悩みの中身は大きく2つに分かれます。ご自身がどちらに近いかを意識すると、対策を選びやすくなります。

項目 配偶者を介護している 夫婦で親を介護している
よくある状況 介護する側も高齢の「老老介護」。二人暮らしで交代要員がいない 共働きや子育てと並行しての介護。実親か義親かで温度差が出やすい
疲れの中心 休めない体の疲れ、先の見えない不安、相手の変化への悲しみ 負担の偏りへの不満、感謝されないつらさ、仕事との両立
起こりやすいリスク 共倒れ、孤立、介護する側の体調悪化 夫婦関係の悪化、介護離婚、介護離職
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同居で介護している人の最多は「配偶者」

厚生労働省が2026年7月に公表した「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」では、在宅で介護を受ける人と同居している主な介護者の続柄は、配偶者が22.5%で最も多く、子の18.2%を上回りました。同居の主な介護者の63.5%は女性です。

介護する人とされる人の年齢の組み合わせを見ると、老老介護の広がりがわかります。

要介護者等と同居の主な介護者の年齢の組み合わせ(2025年)

60歳以上同士:79.0%

65歳以上同士:61.9%(2022年は63.5%)

75歳以上同士:37.1%(2022年は35.7%。調査開始以来の最高)

出典:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」

65歳以上同士の割合はわずかに下がった一方で、75歳以上同士の割合は上がっています。つまり、介護する側がより高齢化しているということです。

さらに注目したいのが介護時間です。同居の主な介護者のうち、介護時間が「ほとんど終日」の人を続柄別に見ると、配偶者が64.6%を占めていました。要介護3以上では「ほとんど終日」が最も多くなります。配偶者の介護は、時間の面でも負担が集中しやすいのです。

介護時間が「ほとんど終日」の同居介護者の続柄(2025年)

配偶者:64.6%

子:28.9%

出典:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」

介護疲れが積み重なったときに起こりうること

厚生労働省が2025年12月に公表した、令和6年度の高齢者虐待に関する調査結果があります。家族などの養護者による虐待が起きた要因として、虐待者側の「介護疲れ・介護ストレス」が57.2%挙げられていました。被虐待高齢者から見た虐待者の続柄は、息子(38.9%)に次いで夫が23.0%、妻は7.1%です。被虐待高齢者の家族形態では、夫婦のみの世帯が24.4%を占めています。

ワンポイント

これらの数字は、特別な家庭の話ではありません。真面目に介護を続けてきた人ほど、疲れが限界を超えたときに追い詰められやすいことを示しています。だからこそ、「まだ大丈夫」と思えるうちに休む仕組みを作ることが、相手と自分の両方を守ることにつながります。

もう限界かも?夫婦の介護疲れのサインをチェック

介護疲れは、本人ほど気づきにくいものです。次のサインに当てはまるものがないか、少し立ち止まって確認してみてください。

心と体に出るサイン

  • 夜中に何度も起こされ、まとまって眠れない日が続いている
  • 以前は楽しめていた趣味やテレビに興味がわかない
  • 食欲が落ちた、または食べすぎてしまう
  • 頭痛や肩こり、腰痛が慢性化している
  • 自分の通院や健診を後回しにしている
  • 理由もなく涙が出る、何をしても気分が晴れない

夫婦関係に出るサイン

  • 介護している相手に、きつい言葉をぶつけてしまう
  • 相手の失敗や物忘れに、強いイライラを感じる
  • 配偶者(親を一緒に介護しているパートナー)と介護の話をすると口論になる
  • 「どうして私ばかり」という思いが頭から離れない
  • 夫婦の会話が、介護の連絡事項だけになっている

状態別の目安と次の一歩

状態 目安 次の一歩
疲れがたまり始め サインが1〜2個。休めば少し回復する 休む時間を予定に組み込む。ケアマネジャーに現状を伝える
要注意 サインが3個以上。休んでも回復しにくい サービスの追加やショートステイの利用をケアマネジャーと相談する
限界 相手を傷つけてしまいそう、自分が消えてしまいたいと感じる その日のうちに地域包括支援センターや相談窓口に連絡する

「相手に手を上げてしまいそう」「死にたい」と感じたら、それはあなたの性格の問題ではなく、負担が限界を超えている合図です。お住まいの地域包括支援センターに相談してください。気持ちのつらさは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)でも相談できます。受付時間は都道府県によって異なります。

介護疲れを今日から軽くする5つの方法

大きく生活を変えなくても、負担を減らす工夫はあります。できそうなものから一つ試してみてください。

1.「全部自分でやる」をやめ、手放す家事を決める

介護そのものより、介護に家事が上乗せされることで疲れが増すケースは多くあります。配食サービス、ネットスーパー、作り置きの総菜などを使い、「やらなくていいこと」を一つ決めるところから始めましょう。手抜きではなく、介護を続けるための工夫です。

2.毎日15分でも「介護から離れる時間」をつくる

散歩、お茶の時間、好きな音楽など、短くても介護のことを考えない時間を意識的に確保します。デイサービスに通っている間は、家事を片付ける時間ではなく自分が休む時間と決めておくのも効果的です。

3.気持ちを言葉にする場所を持つ

友人、子ども、ケアマネジャー、介護者の集いなど、愚痴や弱音を話せる相手を一人でも持ちましょう。言葉にするだけで、頭の中で膨らんでいた不安が整理されることがあります。認知症の介護であれば、同じ立場の家族が集まる家族会や認知症カフェも選択肢です。

4.睡眠を最優先で守る

夜間のトイレ介助や見守りで眠れない状態が続くと、心身の回復が追いつきません。夜の介護が負担になっている場合は、その事実を具体的にケアマネジャーへ伝えてください。ショートステイで数日まとめて眠る、昼間にデイサービスを使って昼寝をする、といった調整ができます。

5.「いつまで続くか」ではなく「今週をどう回すか」を考える

先の見えない不安は、疲れを何倍にも感じさせます。長期の見通しはケアマネジャーや医師と一緒に考えることにして、日々は「今週は何曜日に休むか」という短い単位で計画すると、気持ちが少し軽くなります。

配偶者を介護している場合:老老介護で共倒れしないコツ

長年連れ添った相手の介護は、他の家族の介護とは違う重さがあります。ここでは、配偶者を介護している方に向けたポイントをまとめます。

「夫婦だから自分が」と抱え込みやすい理由

配偶者の介護では、「最後まで自分が面倒を見るのが当然」「他人を家に入れたくない」「相手が嫌がるから」といった思いから、外の助けを遠ざけてしまうことがあります。先ほどの高齢者虐待の調査でも、虐待が起きた要因として「孤立・補助介護者の不在等」が37.4%、「虐待者の外部サービス利用への抵抗感」が24.4%挙げられていました。

介護を一人で背負うことは、相手への愛情の証明ではありません。誰かの手を借りることで、穏やかな気持ちで向き合える時間が増えると考えてみてください。

介護する側・される側でつまずきやすい場面

場面 意識したいこと
家事に慣れていない 料理や洗濯を完璧にこなそうとせず、配食や訪問介護の生活援助を早めに取り入れる
弱音を吐くのが苦手 「相談」と構えず、ケアマネジャーへの「報告」として困りごとを伝える
相手の変化がつらい 以前の姿と比べて悲しくなるのは自然なこと。同じ経験をした家族の話を聞く場を持つ
自分も持病がある 自分の通院を最優先に。介護者の体調も、ケアプランを考えるうえで大切な情報になる

サービスを嫌がる相手には「言い方」を変えてみる

介護される側にとって、デイサービスやヘルパーを受け入れることは「自分が弱った」と認めるようでつらいものです。頼み方を少し変えるだけで、受け止め方が変わることがあります。

避けたい言い方 伝わりやすい言い方
「あなたの世話はもう無理」 「私が倒れないように、少し休ませてほしい」
「デイサービスに行って」 「お風呂に入れてもらえるところがあるから、一度だけ見学してみない?」
「ヘルパーさんを頼んだから」 「私の腰が痛くて、手伝ってくれる人をお願いしたの」
「施設に入ってもらうしかない」 「これからも二人で笑って過ごすために、どうするのがいいか一緒に考えたい」

ワンポイント

家族からの提案には反発しても、主治医やケアマネジャーから勧められると受け入れやすくなる方もいます。説明役を専門職にお願いするのも一つの方法です。

子どもや親族には「具体的に」頼む

「何かあったら言ってね」と言われても、実際には頼みにくいものです。「月に1回、土曜日に半日来てほしい」「通院の付き添いを月1回だけお願いしたい」のように、日時と内容を具体的にして頼むと、相手も動きやすくなります。遠方に住む子どもには、電話での見守りや手続きの代行など、離れていてもできる役割をお願いしましょう。

夫婦で親を介護している場合:すれ違いと介護離婚を防ぐ話し合い方

親の介護をきっかけに夫婦関係がぎくしゃくし、介護離婚に至る例も報じられています。介護の負担そのものより、「わかってもらえない」という気持ちが関係を傷つけることが少なくありません。

夫婦のすれ違いが生まれやすいポイント

  • 実親と義親の温度差:自分の親には思い入れがあっても、配偶者の親には同じ気持ちになれないのは自然なことです
  • 負担の偏り:家にいる時間が長い方、近くに住んでいる方に介護が集中しがちです
  • 感謝の不足:「やって当たり前」という空気が、介護を担う側の心を削ります
  • お金の問題:介護費用を誰の財布から出すのかが曖昧なまま進むと、不満の火種になります

「夫婦介護会議」で決めておきたい5つのこと

介護が始まったら、感情的になる前に一度、夫婦で決めごとを確認する時間を取りましょう。ケアマネジャーに同席してもらうと、話が冷静に進みやすくなります。

項目 決めること 例
窓口役 ケアマネジャーや病院との連絡を誰が担うか 実子である夫が窓口、妻は情報共有のみ
役割分担 通院、買い物、手続きなどを作業単位で分ける 平日の通院は妻、週末の訪問と書類は夫
お金 介護費用は親の年金・貯蓄から出すのが基本か 親の口座で管理し、立て替えは記録する
限界ライン どうなったら施設や同居を見直すか 夜間の介助が週3回を超えたら再検討
夫婦の時間 介護と関係ない時間をどう守るか 月1回は介護の話をしない外食の日をつくる

実の親の介護は「実子が中心」を基本にする

義理の親の介護を配偶者に任せきりにすると、不満がたまりやすくなります。実子が窓口や意思決定の中心を担い、配偶者には「手伝ってもらっている」という意識を持つことが大切です。「ありがとう」「助かった」を言葉にして伝えるだけでも、介護を担う側の気持ちは大きく変わります。

仕事と両立するなら介護休業・介護休暇を活用する

共働きの夫婦が介護で疲れ切ってしまう前に、育児・介護休業法の制度を確認しておきましょう。2025年4月からは、労働者が家族の介護に直面したと申し出た場合、事業主が制度を個別に知らせ、利用の意向を確認することが義務になりました。

制度 内容 向いている使い方
介護休業 対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取得できる。雇用保険の要件を満たせば、休業開始時賃金の67%相当の介護休業給付金が支給される 介護の始まり、退院後の在宅介護の準備、施設入所の時期など、介護の体制を整えるタイミング
介護休暇 年5日(対象家族が2人以上なら年10日)。時間単位で取得できる 通院の付き添い、ケアマネジャーとの打ち合わせなどの短時間の用事

ワンポイント

介護休業は、休業中に自分がずっと介護をするための制度ではありません。サービスの手配や家族の役割分担など、働きながら介護を続ける体制を整えるための期間と考えると、上手に使えます。給与の扱いや細かな要件は勤務先の就業規則で確認してください。

介護疲れのときに使える介護サービスと相談窓口

介護する家族が一時的に介護から離れて休むことを「レスパイトケア」と呼びます。介護保険のサービスは、介護される人のためだけでなく、介護する家族を支えるためのものでもあります。

介護者が休むために使えるサービス

サービス 内容 こんなときに
デイサービス 日帰りで施設に通い、食事・入浴・機能訓練などを受ける 日中に自分の時間がほしい、入浴介助がつらい
ショートステイ 施設に短期間泊まり、介護を受ける まとまって眠りたい、介護者が通院や冠婚葬祭で家を空ける
訪問介護 ホームヘルパーが自宅で身体介護や生活援助を行う 排せつや着替えの介助、家事の負担を減らしたい
小規模多機能型居宅介護 通い・訪問・泊まりを同じ事業所で組み合わせて利用する 環境の変化に弱い人を、なじみの職員に見てもらいたい

介護保険サービスの利用には要介護(要支援)認定が必要です。自己負担は原則1割で、所得に応じて2割または3割になります。

まず相談したい窓口

相談先 相談できること
地域包括支援センター 高齢者と家族のための総合相談窓口。介護保険の申請、サービスの紹介、介護者の悩みまで無料で相談できる
担当のケアマネジャー ケアプランの見直し、サービスの追加、ショートステイの調整
市区町村の介護保険窓口 要介護認定の申請、区分変更の申請、自治体独自の家族支援制度
認知症の人と家族の会 介護経験者による電話相談。フリーダイヤル0120-294-456(平日10時から15時)
こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556。かけた地域の公的な相談機関につながる。受付時間は地域によって異なる

相談するときに伝えるとよいこと

相談の場では、遠慮して「なんとかやれています」と言ってしまいがちです。次のようなことを、そのまま具体的に伝えてください。

  • 夜に何回起こされているか、何時間眠れているか
  • 一番負担に感じている介護の内容(排せつ、入浴、見守りなど)
  • 介護する自分自身の持病や体調
  • 「つい強く当たってしまう」など、気持ちの面で困っていること
  • 手伝ってくれる家族がいるかどうか

よくある質問

Q.配偶者を施設に入れるのは、見捨てることになりませんか?

A.見捨てることにはなりません。介護のプロに日常のケアを任せることで、面会のときに穏やかな気持ちで向き合えるようになったという家族は少なくありません。共倒れを防ぎ、夫婦としての時間を守るための選択肢の一つと考えてください。

Q.介護疲れで、介護している夫(妻)にきつく当たってしまいます。

A.負担が限界に近づいているサインです。あなたの性格の問題ではありません。まずはデイサービスやショートステイで物理的に離れる時間をつくりましょう。手を上げてしまいそうなときは、迷わず地域包括支援センターに相談してください。

Q.本人が介護サービスを嫌がって使ってくれません。

A.「あなたのため」ではなく「私が休むため」と伝える、見学や体験利用から始める、主治医やケアマネジャーから勧めてもらう、といった方法があります。一度で受け入れてもらえなくても、時間をかけて何度か提案してみましょう。

Q.要介護認定を受けていなくても相談できますか?

A.相談できます。地域包括支援センターは、要介護認定の有無にかかわらず、高齢者やその家族からの相談を無料で受け付けています。介護保険の申請手続きについても案内してもらえます。

Q.親の介護に配偶者が協力してくれません。どう伝えればいいですか?

A.「もっと協力して」という気持ちの訴えではなく、「毎週土曜日の買い物をお願いしたい」と作業単位で具体的に頼むのが効果的です。夫婦だけでは感情的になりやすい場合は、ケアマネジャーに同席してもらい、役割分担を一緒に整理するのもおすすめです。

まとめ

  • 夫婦の介護疲れには「配偶者を介護する」「夫婦で親を介護する」の2つのかたちがあり、悩みの中身も対策も異なります
  • 2025年の国民生活基礎調査では、同居の主な介護者の最多は配偶者(22.5%)で、75歳以上同士の老老介護は37.1%と過去最高でした
  • 介護疲れや孤立、サービスへの抵抗感は、家庭内の不適切な介護につながる要因にもなります。早めに休む仕組みを作ることが大切です
  • 家事を手放す、休む時間を予定に入れる、睡眠を守るなど、今日からできる工夫で負担は軽くできます
  • 親の介護では、実子が中心になり、夫婦で役割・お金・限界ラインを話し合っておくことが関係を守ります
  • 一人で抱え込まず、地域包括支援センターやケアマネジャーに具体的な困りごとを伝えてください

介護は、頑張り続けることより、続けられる形を見つけることが大切です。あなたが休むことは、介護している相手を大切にすることでもあります。

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