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「認知症で物を隠すのはなぜ?」と戸惑う家族は少なくありません。大切な物を守ろうとしてしまい込み、その行動自体を忘れてしまうなど、認知機能の変化や不安が重なって起きることがあります。
財布や通帳が何度もなくなったり、「あなたが盗った」と言われたりすると、介護する側も疲れてしまいます。しかし、行動の背景を理解すると、本人と争わずに解決できる場面が増えてきます。
こんな疑問を持つ方へ
- 財布や通帳を何度も隠すのは、なぜなのか
- 自分で隠したのに「盗まれた」と言うのはどうしてなのか
- 物がなくなったと騒いだとき、どんな声をかければよいのか
- 隠す行動をやめさせたほうがよいのか
- 病院や介護の専門家へ相談したほうがよい状態を知りたい
この記事では、認知症の人が物を隠す背景から、探し物をするときの接し方、物盗られ妄想への対応、家庭でできる再発防止策、医療機関などへ相談する目安まで順番に解説します。
認知症で物を隠すのはなぜ?まず知りたい5つの背景
認知症の人が物を隠すように見える行動には、ひとつだけの原因があるとは限りません。
「認知症だから変なことをしている」とまとめて考えるより、本人がその瞬間に何を感じ、なぜその場所へ物を動かしたのかを考えることが大切です。
| 背景 | 本人側で起きていること | 周囲から見える行動 |
|---|---|---|
| 記憶障害 | しまった行動そのものを思い出せない | 何度も物をなくす、隠す |
| 不安 | 大切な物を安全な場所へ保管したい | 財布や通帳を別の場所へ移す |
| 判断力などの低下 | 適切な保管場所を選びにくくなる | 意外な場所に物をしまう |
| 物盗られ妄想 | 自分が動かした記憶がなく、他人が持っていったと感じる | 家族や介護者を疑う |
| 自尊心や羞恥心 | 失敗を知られたくない | 汚れた衣類などを見えない場所へしまう |
1.「しまったこと」そのものを忘れてしまう
認知症では、記憶障害がみられることがあります。
たとえば本人が「財布を盗られないように安全な場所へしまっておこう」と考え、普段とは違う引き出しへ移したとします。その時点では本人なりの目的があり、意味のある行動です。
ところが、その後に「財布を移した」という出来事を思い出せなくなると、いつもの場所に財布がありません。
本人からすると、「自分が移した」という記憶がないため、突然財布が消えたように感じられます。
周囲には「隠したのに忘れている」ように見えても、本人の感覚では「大切な物が突然なくなった」という出来事になっている場合があります。
2.「大切な物を守りたい」という不安からしまい込む
物を隠す行動を、単に意味のない行動と決めつけないことも重要です。
認知機能の低下を本人自身がうまく説明できなくても、「最近よく物をなくす」「誰かが家に入ってくるのではないか」「自分でしっかり管理しなければ」といった不安を抱くことがあります。
その結果として、財布や現金、通帳、鍵など、本人にとって重要な物を「もっと安全な場所へ」と移すことがあります。
つまり、周囲から見れば「隠す」行動でも、本人にとっては「守る」「保管する」という意味を持っている場合があるのです。
3.適切な置き場所を判断しにくくなることがある
認知症では記憶だけでなく、理解・判断や物事を順序立てて行う力などにも影響が及ぶことがあります。
そのため、「財布は財布置き場」「薬は薬箱」というように、物と保管場所を結びつけて管理することが難しくなる場合があります。
大切に保管しようと考えていても、普段なら選ばない収納場所へ入れてしまうことがあります。
家族が「なぜそんなところに入れたの?」と感じるような場所でも、本人にはその瞬間なりの理由があった可能性があります。
4.物盗られ妄想につながることがある
認知症では、妄想などの行動・心理症状が現れることがあります。こうした症状はBPSDと呼ばれます。
代表的なもののひとつが「物盗られ妄想」です。
自分で財布などをしまった記憶がなく、目の前から物が消えていると、「誰かが持っていったのではないか」と考えてしまうことがあります。
このとき本人は、家族を困らせるために演技をしているとは限りません。本人にとっては「本当に物がなくなった」という認識になっている場合があります。
5.汚れた衣類などは「知られたくない」気持ちが関係することもある
財布や通帳とは少し違う理由で、下着や衣類を隠すように見えることもあります。
たとえば排泄の失敗などをしたとき、「家族に知られたくない」「恥ずかしい」「自分はまだきちんとできると思われたい」という気持ちから、汚れた物をタンスなどへしまうことがあります。
このようなケースでは、単に衣類を取り上げたり叱ったりするだけでは根本的な解決になりません。
排泄のタイミング、トイレまでの動線、衣類の着脱のしやすさなど、失敗につながった背景まで確認することが大切です。
「隠す、忘れる、盗られた」の流れを理解すると対応しやすい
家族が最もつらいのは、本人が自分で物を動かしたにもかかわらず、「あなたが盗った」と責められる場面ではないでしょうか。
こうした出来事は、次のような流れで起きることがあります。
ここで大切なのは、家族と本人では「見えている出来事」が違うという点です。
家族には、本人が財布を引き出しへ入れていた記憶があります。そのため「あなたが昨日そこに入れたでしょう」と考えます。
しかし、その出来事を本人が思い出せない場合、「自分で入れた」という説明は本人の体験と一致しません。
正論で説明しても納得してもらえないことがあるのは、このためです。
事実を言い聞かせることより、まず「大切な物がないので不安」という感情への対応を優先すると、話がこじれにくくなります。
物を隠すだけで認知症と決めつけることはできない
物をなくしたり、普段と違う場所へしまったりすることは、認知症ではない人にも起こります。
そのため、「財布を隠したから認知症」「物をなくしたから認知症」とひとつの行動だけで判断することはできません。
同じ話を何度もする、予定を繰り返し忘れる、金銭管理や服薬管理が難しくなる、以前できていた生活行為に支障が出てきたなど、ほかの変化も含めて判断する必要があります。
気になる変化が続いている場合は、かかりつけ医などへ相談してください。
物を隠した・なくしたときはどうする?家族の対応5ステップ
実際に財布などが見つからなくなると、家族も焦ります。
しかし、本人が興奮している状態で「また隠したんでしょう」と責めてしまうと、不安や怒りがさらに強くなることがあります。
次の順番で対応すると、落ち着いて解決しやすくなります。
1.まず「困っている気持ち」を受け止める
最初に必要なのは、犯人や原因を決めることではありません。
「財布がない」という訴えの奥にある不安を受け止めます。
たとえば、次のような声かけです。
- 「財布が見つからないと心配ですね」
- 「大切な物ですから気になりますよね」
- 「一緒に確認してみましょう」
これは「本当に誰かが盗んだ」と同意するという意味ではありません。
盗難という主張そのものではなく、「なくなって不安」という感情に寄り添うことがポイントです。
2.本人と一緒に探す
落ち着いて話ができそうであれば、一緒に探します。
本人がよく使う場所、普段物を置いている場所、以前にも見つかった場所などから順番に確認すると効率的です。
家族がひとりで家中を探し回るより、「いつもの場所から一緒に見てみましょう」と参加してもらうほうが、本人の安心につながる場合があります。
3.見つけたときに本人を責めない
タンスの奥から財布が見つかると、つい「ほら、自分で隠したんじゃない」と言いたくなるかもしれません。
しかし、その一言で本人が責められたと感じると、口論になる可能性があります。
見つかったこと自体を区切りにして、
- 「見つかってよかったですね」
- 「これで安心できますね」
といった形で終えるほうが、その後の関係を保ちやすくなります。
4.興奮しているときは探し続けない
「絶対にあなたが盗った」と強く興奮している場合、正面から話し合い続けても解決しないことがあります。
いったんお茶を飲む、別の部屋へ移る、別の話題に切り替えるなど、関心を変える方法もあります。
特に疑われている家族が目の前にいることで興奮が強くなる場合は、安全を確認したうえで少し距離を取ることも選択肢です。
5.見つからなければ生活への影響を先に解決する
探し物が見つからないまま何時間も探し続けると、本人も家族も疲れてしまいます。
まず、その物がないことで困ることを整理しましょう。
| なくなった物 | 優先して確認したいこと |
|---|---|
| 家の鍵 | 家に入れない、外へ出られないなどの支障がないか確認し、予備の管理方法も考える |
| 眼鏡 | 転倒や生活上の不便につながっていないか確認する |
| 薬 | 飲み忘れや重複服用を防ぐことを優先し、自己判断で追加服用しない |
| 通帳・印鑑 | 紛失や金銭トラブルの可能性を確認し、繰り返す場合は管理方法を家族だけで抱え込まない |
| 財布・現金 | 必要以上の現金を持つことが負担になっていないか、本人の意向を尊重しながら管理方法を見直す |
やってはいけない対応は?否定・叱責・犯人探しを避ける
認知症の人への対応では、「正しいことを言えば理解してもらえる」とは限りません。
特に物盗られ妄想が関係している場合、家族が必死に潔白を証明しようとするほど話がこじれるケースがあります。
| 避けたい言い方 | 言い換え例 |
|---|---|
| 「また自分で隠したんでしょう」 | 「見つからないと心配ですね」 |
| 「私が盗むわけないでしょう」 | 「まず一緒に確認してみましょう」 |
| 「昨日ここに入れていたじゃない」 | 「いつもの場所から探してみましょう」 |
| 「何回同じことを言うの」 | 「大切な物だから気になりますね」 |
| 「認知症だから忘れたんだよ」 | 「見つかるように一緒に考えましょう」 |
「盗まれていない」と証明することを最優先にしない
家族が犯人扱いされれば、否定したくなるのは当然です。
ただし、その場で本人を論破しようとしても、お互いの感情が強くなるだけの場合があります。
「盗まれた」という内容に同意する必要はありませんが、まず「なくなって困っている」という部分に対応します。
本人が落ち着いてから、必要に応じて管理方法を見直したほうが現実的です。
本人の前で勝手に物を処分しすぎない
「隠されると困るから」と収納場所をすべて空にしたり、本人の持ち物を家族が一方的に管理したりすると、本人の不安が強くなる場合があります。
認知症があっても、その人の生活空間や持ち物は本人にとって大切なものです。
危険物など安全上の理由がある場合を除き、できるだけ本人の意向を確認しながら環境を整えましょう。
物を隠しにくくするより「見つけやすい家」にする
再発防止というと、「隠す場所を全部なくせばよい」と考えたくなります。
しかし、本人が大切な物を自分で管理したいという気持ちまで奪ってしまうと、かえって不安が強くなる可能性があります。
目標は「絶対に隠させない」ことではなく、本人が迷いにくく、家族も見つけやすい環境を作ることです。
財布・鍵・眼鏡は定位置をできるだけ固定する
毎日使う物は置き場所を増やしすぎないようにします。
たとえば玄関近くに鍵用のトレーを用意したり、財布を置く引き出しをひとつに決めたりします。
本人が長年使ってきた収納場所があるなら、新しい便利グッズへ急に変えるより、なじみの場所を活用するほうが分かりやすい場合があります。
本人がよくしまう場所を家族が記録しておく
物を隠す場所には、本人なりのパターンが見えてくることがあります。
「財布がなくなったら、まずここを確認する」という場所を家族や介護職で共有しておくと、探す時間を短縮できます。
ただし、本人の尊厳やプライバシーにも配慮し、監視するような関わりにならないことが大切です。
予備を準備できる物は検討する
眼鏡など、予備を用意できる物であれば備えておくと、見つからないたびに生活が止まるのを防げます。
ただし薬については、単純に予備を本人の手元へ増やすと重複服用につながるおそれがあります。服薬管理に不安がある場合は、医師、薬剤師、訪問看護師、ケアマネジャーなどへ相談してください。
危険物は「本人の自由」と分けて考える
すべての持ち物を家族が管理する必要はありませんが、安全に直結する物は別です。
- 薬
- 刃物
- 洗剤など誤飲すると危険な物
- 火気に関係する物
- 重要な契約書類
こうした物については、本人の状態に応じて安全な保管方法を検討します。
本人の自立を尊重することと、重大な事故を防ぐことの両方を考える必要があります。
「いつ、何を隠したか」だけでなく前後の状況を記録する
繰り返し起こる場合は、簡単な記録が役立ちます。
| 記録する項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 時間帯 | 特定の時間に起こりやすくないか |
| なくなった物 | 財布、鍵、衣類など種類に偏りがないか |
| 直前の出来事 | 来客、外出、入浴など環境の変化がなかったか |
| 本人の様子 | 不安、疲労、興奮、眠気などがなかったか |
| 体調 | 普段と違う体調変化がなかったか |
| 対応と結果 | どの声かけで落ち着いたか、どこから見つかったか |
この記録は家族のためだけでなく、医師やケアマネジャーなどへ状況を説明するときにも役立ちます。
「あなたが盗った」と言われたら?物盗られ妄想への接し方
物を隠す行動よりも家族を追い詰めやすいのが、物盗られ妄想です。
一生懸命介護している人ほど疑われ、「これだけ世話をしているのに、なぜ私が泥棒扱いされるのか」と傷つくことがあります。
まず覚えておきたいのは、家族関係への本心をそのまま表しているとは限らないということです。
大切な物が見つからない不安と、記憶の空白を埋める形で「誰かが持っていった」という考えにつながっている場合があります。
疑われた本人が無理に対応し続けなくてもよい
特定の家族を見るたびに「あなたが盗った」と強く訴える場合、その家族が対応し続ける必要はありません。
別の家族や介護職が対応できるのであれば交代し、一時的に距離を取る方法もあります。
介護者自身が限界まで我慢して感情を爆発させるより、早い段階で役割を分担するほうが、本人と家族の双方にとって安全です。
「犯人探し」ではなく「安心を取り戻す」ことを目標にする
物盗られ妄想への対応では、話し合いのゴールを間違えないことが重要です。
ゴールは、本人に「自分が間違っていました」と認めさせることではありません。
財布などを見つける、代替手段を用意する、不安を落ち着かせるなど、「本人が再び安心して生活できる状態」に戻すことを優先します。
家族側も記録を残しておく
現金などが関係する場合は、「何日にいくら確認した」「通帳はどこで管理している」といった事実関係を家族側で整理しておくことも大切です。
これは本人を責めるためではなく、本当の紛失や金銭トラブルが起きた場合と、認知症の症状による訴えを混同しないためです。
介護サービスを利用している場合は、家族だけで判断せずケアマネジャーなどとも情報を共有しましょう。
急に物を隠し始めたら要注意?受診・相談を考えたいサイン
物を隠す行動があるからといって、すべてのケースですぐに治療が必要になるわけではありません。
一方、家族だけで対応を続けないほうがよい場面もあります。
数時間から数日の間に様子が急変した
特に注意したいのが、これまで落ち着いていた人が急に強い妄想を訴えたり、急激に混乱したりした場合です。
高齢者では、認知症そのものとは別に「せん妄」と呼ばれる状態が起こることがあります。
せん妄は急に現れることがあり、身体疾患や薬の影響などが関係する場合があります。認知症の人にせん妄が重なることもあります。
- 数時間から数日の間に急に混乱が強くなった
- いつもと比べて極端にぼんやりしている
- 急に幻覚や強い妄想、興奮が現れた
- 体調も普段と明らかに違う
- 薬の変更後などに様子が大きく変わった
「認知症が進んだだけ」と決めつけず、急な変化はかかりつけ医などへ相談してください。
薬や食べ物など安全に関わる物を頻繁に隠す
財布を隠す場合とは違い、薬を隠して飲めなくなる、反対に以前の薬を見つけて重ねて飲むなどの状況は安全に関係します。
刃物や洗剤などを予想外の場所へ移す場合も同様です。
重大な事故につながる可能性がある物については、「様子を見る」だけにせず、医療・介護の専門職と環境調整を考えましょう。
日常生活や金銭管理に大きな支障が出ている
通帳や現金を繰り返し紛失する、公共料金の支払いが難しくなる、重要書類が見つからなくなるなど、生活そのものに影響が出ている場合も相談の目安です。
本人の能力をすべて奪うのではなく、「どこまで本人ができ、どこから支援が必要なのか」を家族以外の専門職も交えて考えるとよいでしょう。
家族が精神的に限界を感じている
本人の症状だけでなく、介護者の負担も重要な相談理由です。
毎日のように泥棒扱いされる、夜間も探し物につき合わされる、本人との口論が増えたなどの状態では、家族だけで耐え続ける必要はありません。
介護サービスの利用や調整、家族以外の人が関わる時間を増やすことなどを検討します。
どこへ相談すればよい?
| 相談先 | 相談しやすい内容 |
|---|---|
| かかりつけ医 | 認知症の症状変化、急な混乱、体調や薬との関係など |
| 地域包括支援センター | 認知症かもしれない段階から、介護、生活、家族の負担まで幅広い相談 |
| ケアマネジャー | すでに介護保険サービスを利用している場合のサービス調整や生活環境の相談 |
| 認知症疾患医療センター | 認知症の鑑別診断、専門医療相談、行動・心理症状などに関する専門的な相談 |
地域包括支援センターは、高齢者の保健・医療・介護などに関する地域の総合相談窓口です。「病院へ行くほどなのか分からない」という段階でも相談できます。
認知症で物を隠すときのよくある質問
Q1.認知症になると、物を隠す行動は必ず出ますか?
いいえ。認知症がある人すべてに物を隠す行動や物盗られ妄想が現れるわけではありません。
認知症の症状や現れ方には個人差があります。また、物をなくす・違う場所へしまうという出来事だけで認知症と判断することもできません。
Q2.隠し場所として多いのはどこですか?
特定の場所に必ず隠すわけではありません。
本人が「安全」と感じる収納、普段から使っている引き出し、衣類や日用品をしまっている場所などに移す場合があります。
一般的な隠し場所を片端から探すより、その人が普段どこで物を管理しているか、以前どこから見つかったかを記録するほうが実用的です。
Q3.「盗まれた」と言われたら、否定してはいけないのですか?
事実と違う内容に同意する必要はありません。
ただし、「盗まれていない」「あなたが自分で隠した」と正面から否定し続けると、本人の不安や怒りが強くなる場合があります。
まず「財布がなくて心配ですね」と感情を受け止め、「一緒に探しましょう」と解決行動へつなげる方法が適しています。
Q4.認知症の人が物を隠すのを完全にやめさせる方法はありますか?
「絶対に隠させない」という方法を目標にするより、物を管理しやすくする環境づくりを考えるほうが現実的です。
置き場所を固定する、不要な収納を増やさない、本人がよく使う場所を把握するなどの工夫で、紛失時の負担を減らせます。
症状が強い場合は、原因となっている不安や体調、生活環境などを医療・介護の専門職と一緒に確認します。
Q5.物を隠すようになったら、すぐ病院へ連れていくべきですか?
物を隠すという行動だけで緊急受診が必要とは限りません。
ただし、認知症の診断を受けていない人に記憶や生活上の変化が続いている場合や、妄想が強く生活に支障が出ている場合は、かかりつけ医などへ相談するとよいでしょう。
また、数時間から数日のうちに急激に混乱した、普段とは明らかに様子が違うといった場合は、せん妄など認知症以外の原因も考える必要があるため、早めに医療機関へ相談してください。
まとめ|物を隠す行動の奥にある「不安」を見ることが大切
認知症の人が物を隠すように見える行動には、記憶障害だけでなく、「大切な物を守りたい」という不安、判断力などの変化、物盗られ妄想、自尊心など、さまざまな背景が関係することがあります。
特に覚えておきたいのは、本人が家族を困らせる目的で行っていると決めつけないことです。
- まず本人が困っている気持ちを受け止める
- 否定や説得から始めず、一緒に探す
- 見つけても「自分で隠した」と責めない
- 物の置き場所を分かりやすくする
- 薬や危険物などは安全を優先して管理する
- 急激な変化があれば認知症だけの問題と決めつけない
- 家族がつらい場合も専門職へ相談する
「また隠された」と考えるだけでは、介護する側のストレスは大きくなります。
一方で、「本人はいま何を守ろうとしているのだろう」「何が不安なのだろう」という視点を持つと、対応方法が見えてくることがあります。
家庭だけで解決することが難しいときは、かかりつけ医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、認知症疾患医療センターなどへ相談し、家族だけで抱え込まないことも大切です。
- 厚生労働省「幻覚・妄想への対応」
- 厚生労働省「認知症の行動・心理症状に関する基礎知識」
- 厚生労働省「認知症に関する相談について」
- 厚生労働省「主な認知症施策について」
- 認知症介護情報ネットワーク DCnet
本記事は認知症に関する一般的な情報を解説したもので、個別の診断や治療を行うものではありません。症状や体調に不安がある場合は医療・介護の専門職へ相談してください。
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