ケアマネ実務研修を受けないとどうなる?合格後の期限と注意点

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こんな疑問を持つ方へ
  • 合格はしたけれど、仕事の都合で研修の日程を空けられない
  • 受けないまま放っておいたら、合格が無駄になるのか知りたい
  • 数年前に合格したまま。今からでも受けられるのか気になる
  • 約6万円と87時間を払う価値があるのか判断できない
  • 更新制が廃止されると聞いて、制度の全体像がわからなくなった

ケアマネの実務研修を受けないとどうなるのか。結論を先に言えば、合格が取り消されることはありませんが、ケアマネとして働くことは一切できません。その差がどこで生まれるのか、順番に整理していきます。

ケアマネの実務研修を受けないとどうなるのか

ケアマネの実務研修を受けないとどうなるのか

介護支援専門員(ケアマネジャー)の試験は、正式には「介護支援専門員実務研修受講試験」といいます。名称のとおり、この試験は実務研修を受ける資格を得るための試験であって、合格した時点でケアマネになれるわけではありません。

実際にケアマネとして仕事をするまでには、次の4段階を通過する必要があります。

段階 内容 この段階で働けるか
1実務研修受講試験に合格する働けません
2介護支援専門員実務研修を修了する働けません
3都道府県の介護支援専門員資格登録簿に登録される働けません
4介護支援専門員証の交付を受けるここで初めて働けます

実務研修を受けないということは、この階段の2段目で止まるということです。登録も証の交付も申請できないため、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターでケアマネの職に就くことはできません。求人に応募しても、多くの事業所は介護支援専門員証の提示を求めます。

ワンポイント

実務研修を受けなかったことに対する罰則や不利益処分はありません。受講しないという選択そのものは、行政手続き上まったく問題のない行動です。ただし「ケアマネとして働く権利」は得られないまま、という状態が続きます。

受けないまま時間が経つと、何が起きるのか

受けないまま時間が経つと、何が起きるのか

「働けない」以外にも、受講を見送った状態が長引くと静かに失われていくものがあります。段階を追って見ていきます。

その1:資格手当や配置要件の対象外のままになる

介護支援専門員証がなければ、事業所の人員配置基準上のケアマネとして数えられません。資格手当を支給している職場でも、支給対象は証の保有者とされているのが一般的です。合格通知だけでは評価につながりにくいのが現実です。

その2:受講の機会が年に一度しか巡ってこない

実務研修は都道府県(または指定研修実施機関)が年間スケジュールを組んで実施します。募集期間を逃せば、次の機会は原則として翌年度です。東京都の例では、当該年度の合格者を対象とする回とは別に、時期をずらした回が設けられています。いずれにしても「思い立ったらすぐ受けられる」ものではありません。

その3:カリキュラムや費用が変わっていく可能性がある

介護支援専門員の法定研修は、2024年(令和6年)4月から新しいカリキュラムで実施されています。適切なケアマネジメント手法や科学的介護に関する内容が各科目に加えられるなど、内容は時代に合わせて更新され続けています。受講料も都道府県ごとに改定されるため、数年後に受ける場合の条件は今と同じとは限りません。

その4:現場感覚が薄れ、研修そのものが負担になる

実務研修にはケアプラン作成の演習や居宅介護支援事業所での実習が含まれます。合格直後は試験勉強の知識が残っていますが、数年経つと制度改正も重なり、学び直しの負荷が上がります。

合格に期限はあるのか。翌年度以降でも受けられるのか

合格に期限はあるのか。翌年度以降でも受けられるのか

ここが最も検索されやすく、そして誤解の多いところです。

試験に合格したこと自体は、受講を見送っただけで自動的に取り消されるものではありません。実際に、過去の合格者で実務研修を受けていない人を対象にした受講枠を設けている自治体があります。

たとえば大阪府では、過年度の合格者などを対象に実務研修受講の仮申込を受け付ける案内が出されています。令和7年度(第28回)の案内では、研修は約14日間の日程で、費用は60,300円とテキスト代、カリキュラムは90時間と示されていました。

また、やむを得ない事情で受験した都道府県の研修を受けられない場合に、他の都道府県が実施する実務研修を受講できることがある、という案内を出している自治体もあります(山形県の例)。

ワンポイント

過年度合格者の受け入れは、実施の有無・定員・申込時期のすべてが都道府県ごとに異なります。全国一律のルールではありません。見送りを検討している段階で、住んでいる都道府県の担当課や指定研修実施機関に「翌年度以降も受講できるか」を確認しておくと確実です。

Q&Aサイトや介護職向けの掲示板では、「日程が合わず今年は見送ってよいか」「今すぐケアマネをする予定がないが受けるべきか」といった相談が繰り返し投稿されており、同じ迷いを抱える人が一定数いることがうかがえます。

実務研修の時間・日数・費用の実際

実務研修の時間・日数・費用の実際

判断材料として、研修の実態を具体的に把握しておきましょう。内容は都道府県によって運用が異なるため、公表されている例を挙げます。

項目 東京都の例 大阪府の例
時間数87時間の講義・演習カリキュラム90時間
実習居宅介護支援事業所で原則3日間ケアマネジメントの基礎技術に関する実習
日程規模前期課程・実習・後期課程の順に受講集合研修11日間と実習3日間程度で計14日間
受講料特定一般教育訓練給付金の対象講座60,300円とテキスト代
受講形態一部科目はオンデマンド配信事前学習に一部eラーニングを導入

まとまった日数を確保する必要があるため、働きながら受講する場合は勤務調整が前提になります。一方で、東京都のように厚生労働大臣指定教育訓練講座になっている研修もあり、要件を満たせば費用の一部が支給される制度を利用できる場合があります。研修実施機関の案内やハローワークで確認する価値があります。

研修を修了したあとに待つ「3か月」と「5年」の期限

研修を修了したあとに待つ「3か月」と「5年」の期限

実務研修そのものより見落とされやすいのが、修了後の手続き期限です。ここを逃すと、87時間かけた研修が実質的に無駄になります。

期限1:修了後3か月以内に登録申請

実務研修を修了した人は、研修を実施した都道府県知事に対して登録申請を行います。この申請には修了日から3か月以内という期限があり、これを過ぎると介護支援専門員資格登録簿に登録できなくなります。北海道、千葉県、群馬県、三重県、神奈川県、福岡県、山形県など、多くの自治体が同じ内容を案内しています。

期限2:登録後5年以内に証の交付申請

登録と、介護支援専門員証の交付は別の手続きです。登録だけを行って証の交付を受けずにいた場合、山形県の案内では、登録から5年を経過すると再研修を修了しなければ証の交付申請ができないとされています。

なお登録簿への登載自体は、欠格事由に該当するか本人が消除を届け出ない限り継続するとされています(群馬県の案内)。証が失効しても登録が消えるわけではない、という点は押さえておくとよいでしょう。

ワンポイント

「実務研修を受けるかどうか」を迷っている段階では、この3か月ルールはまだ関係ありません。しかし受講を決めたなら、修了直後に手続きが控えていることを前提にスケジュールを組んでおく必要があります。修了して安心して放置する、が最も避けたいパターンです。

2026年の法改正で、研修制度はこう変わります

2026年の法改正で、研修制度はこう変わります

2026年6月19日、「社会福祉法等の一部を改正する法律」が参議院本会議で可決・成立しました。ケアマネジャーの資格制度に関わる大きな見直しが含まれています。

論点 改正内容
介護支援専門員証の有効期間有効期間と更新制が廃止されます
更新研修更新研修を受けないと直ちに資格を失うルールがなくなります
研修受講一定の研修の受講が、ケアマネジャーの義務として改めて位置づけられます
事業者の責務雇用するケアマネジャーが研修を受けられる機会の確保が義務づけられます
負担軽減一定の研修のオンデマンド化や時間数の圧縮が方針として示されています
再研修現行の再研修は廃止され、円滑な復職のための簡素な研修の仕組みが新たに設けられます

施行時期については、改正案の段階で公布後1年6か月以内に政令で定める日とされていました。施行されるまでは現行の制度が続く点に注意が必要です。有効期間が近い人が「廃止が決まったから更新しなくてよい」と判断すると、失効につながります。

そして実務研修については、この改正で廃止されるという発表は確認できません。見直しの中心は登録後の更新制度と法定研修のあり方であり、試験合格後に登録するための実務研修は引き続き必要になると考えられます。「更新制がなくなるなら実務研修もいらなくなる」という理解は、現時点の情報からは裏づけられません。

あわせて、受験に必要な実務経験を5年から3年に短縮する方向や、受験対象となる資格の範囲を広げる方向の検討も進められています。ただしこれらは法律本体ではなく省令などで具体化される見込みで、確定した内容は厚生労働省や都道府県の発表で確認する必要があります。

受けるか見送るか、判断するための3つの軸

受けるか見送るか、判断するための3つの軸

制度を押さえたうえで、自分はどうするか。判断材料になる数字と視点を挙げます。

軸1:5年以内にケアマネとして働く可能性があるか

可能性があるなら、合格直後に受けるのが最も負担が小さい選択です。試験知識が新しく、合格年度の研修は案内が自動的に届き、手続きも最短で済みます。逆に、当面まったく予定がないなら、受講を急がなければならない全国共通のルールは確認できません。

軸2:合格者のうち実際に現場に立つ人は多くない

厚生労働省の集計では、令和7年度(第28回)の実務研修受講試験は受験者50,601人、合格者12,961人、合格率25.6%でした。第1回からの累計合格者は781,248人にのぼります。

一方、共同通信が47都道府県に行った調査として2025年12月に報じられた内容では、有効な資格を持つ人は全国で約31万1千人、そのうち約12万5千人が従事していないとされています。従事している人は厚生労働省が公表した2023年度の統計で18万5,174人でした。

項目 数値
第28回試験の受験者数50,601人
第28回試験の合格者数12,961人(合格率25.6%)
第1回から第28回までの累計合格者781,248人
有効な資格を持つ人(47都道府県調査)約31万1千人
従事していない人(同調査の推計)約12万5千人
従事者数(2023年度統計)185,174人

資格を持ちながら現場に立っていない人が相当数いるという事実は、「受けないまま迷っている自分は特殊ではない」という安心材料になります。同時に、研修の負担が就業をためらう要因のひとつとみられている点は、制度改正が負担軽減に向かっている理由でもあります。

軸3:職場の支援が使えるか

改正法では、事業者に対してケアマネジャーが研修を受けられる機会の確保が義務づけられます。現時点でも、受講料の補助事業を実施している自治体や、勤務調整に協力する事業所があります。個人で全額・全日程を抱え込む前提で考えると重く見えますが、使える制度を調べてから判断すると結論が変わることがあります。

よくある質問

Q1. 実務研修を受けなかった場合、合格は取り消されますか。

受講を見送っただけで合格が取り消されるという全国共通の定めは確認できません。実際に、過去の合格者で実務研修を未受講の人を対象とした受講枠を設けている自治体があります。ただし受け入れの有無や条件は都道府県ごとに異なるため、必ず住んでいる都道府県の担当課に確認してください。

Q2. 実務研修を欠席したり、途中で辞退したらどうなりますか。

実務研修は法定研修であり、全課程を修了して初めて修了証明書が交付されます。東京都の案内でも、前期課程・実習・後期課程の全過程を修了する必要があるとされています。欠席の取り扱いや振替の可否は実施機関の判断によるため、日程に不安がある場合は申し込み前に相談するのが確実です。

Q3. 研修は修了したのに、登録の手続きを忘れていました。

登録申請は実務研修の修了日から3か月以内に行う必要があり、これを過ぎると介護支援専門員資格登録簿への登録ができなくなると、多くの都道府県が案内しています。期限を過ぎてしまった場合の取り扱いは自治体に確認するほかありませんが、まずは修了証明書を手元に用意して、できるだけ早く問い合わせてください。

Q4. 更新制が廃止されるなら、実務研修も不要になりますか。

実務研修が不要になるという発表は確認できません。2026年に成立した改正法で見直されたのは、介護支援専門員証の有効期間と更新制、および更新のための研修の位置づけです。試験合格後に登録するための実務研修は、引き続き必要になると考えられます。

Q5. 介護支援専門員証の有効期間が切れてしまった場合はどうなりますか。

現行制度では、有効期間の満了後に新たな証の交付を受けずに業務に従事することはできず、実務に戻るには再研修を修了して交付申請を行う必要があります。なお改正法では現行の再研修を廃止し、円滑な復職のための簡素な研修の仕組みを新たに設ける方針が示されています。施行までは現行の取り扱いが続きます。

まとめ

  • ケアマネ試験に合格しても、実務研修を修了しなければ登録も介護支援専門員証の交付もできず、ケアマネとして働くことはできません。
  • 受講しないこと自体に罰則はありません。ただし資格手当や配置要件の対象にはならず、受講機会は原則として年に一度です。
  • 過年度の合格者を対象にした受講枠を設けている自治体があります。扱いは都道府県ごとに異なるため、直接の確認が必要です。
  • 研修規模の目安は、東京都で87時間の講義・演習と原則3日間の実習、大阪府で90時間のカリキュラムと計14日間、費用60,300円とテキスト代です。
  • 修了後は3か月以内に登録申請、登録後5年以内に証の交付申請という期限があります。ここを逃すと研修が実質的に無駄になります。
  • 2026年6月に成立した改正法で、介護支援専門員証の有効期間と更新制は廃止され、研修受講は義務として位置づけ直されます。再研修も廃止され、復職のための簡素な仕組みが新設されます。施行までは現行制度が続きます。
  • 令和7年度の試験は受験50,601人、合格12,961人。有効な資格を持つ約31万1千人のうち約12万5千人が従事していないとされ、迷っているのは自分だけではありません。

実務研修を受けるかどうかは、「今すぐ働くか」ではなく「5年先の自分にこの選択肢を残しておきたいか」で考えると整理しやすくなります。制度は負担を軽くする方向に動いています。まずは住んでいる都道府県の案内で、次回の募集時期と過年度合格者の取り扱いを確認するところから始めてみてください。

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